第四十九話 其の問いは__ ページ50
『つまんない つまんない・・・・・
皆こう 私を睨んでくる』
夕陽色の瞳が歪む、歪む。
男を見下し嗤う、嗤う。
男は力の余り入らない躰で何とか拳銃を拾おうとした。
淳と男のやり取りに皆が口を開き、驚きの表情で固まる。勿論其れは谷崎もだ。
『嗚呼 未だ動けるんだ』
彼女らしくない口調でつまらなそうに云った。
淳は少し考えるような素振りを見せると『そうだ!』と目を輝かせた。
『久し振りに異能使うけど・・・
____善いよね?』
ぽんと淳は痛むで或ろう右手で男の額に触れる。
其れは其れは軽く、まるで親しい仲間に触れるように。
触れられた瞬間、頭に流れ込んでくる映像の数々。
ポートマフィアから狙われ、逃げる日々。
何十年も前に親から棄てられた時の記憶。
暴力の日々。
嘗ての暗い記憶が一気に頭に流れ込んだのだ。
「あ あぁ____」
男が頭を抱える。
冷や汗が大量に頬を伝い、目が血走っていた。
『貴方も大変ね・・・
こんな暗い過去を抱えてるなんて』
先程とは違い愉しそうに愉快そうに云った。
けらけらと笑い乍ら男の頬を撫でる。
『___まぁ 私には関係無いけど』
『うふふ』と淳は笑い声を洩らす。
男は苦しみに満ちた顔をしたまま、呻いていた。
彼女の左手に握られた小刀は血に濡れ、切っ先からは血が滴っていた。
谷崎は呆然と其の様子を眺め乍ら少し前の事を思い出す。
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一度、谷崎は太宰に淳の異能について訊いた事が有った。
淳に訊いてはぐらかされたからだ。
太宰は探偵社の窓から外を眺め、遠くを見るような目をして答えた。
「淳の異能はね"人を操る"のだよ・・・」
「人を・・・操る____」
谷崎はそう小さく呟いた。
「谷崎君」太宰は珍しく硬い表情で云った。
「精神操作系の異能は忌み嫌われている
君も知っているだろう・・・・・____?」
太宰の琥珀色の瞳は何処迄も暗く輝いている。
太宰は自分のループタイを弄り乍らそう訊いた。
「彼女の異能はね_____」
「"謂わば淳の裏人格なのだよ____"」
彼は、其の後何と云ッていただろうか?
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其の問いが彼の口から出る事は終ぞ無かった_____。
.*・゚ .゚・*.
続編行きます。
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RAIN@元アラジンlove(プロフ) - ミリアさん» コメントありがとうございます。ワートリと文ストのクロスオーバーの話なら考えているのですが銀魂の方は大まかなストーリしか知っていないのでご期待に添えるかは分かりません。なかなか占ツクに顔を出す事が出来ませんがこれからも宜しくお願いします。 (2017年9月23日 18時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
ミリア - 凄く気に入った作品で大好きですもし今後他の作品を作る予定があったらワールドトリガーとコラボかトリップか転生した黒バスかアニメKか銀魂の銀時か高杉の姉か妹の作品が読んでみたいです説明が下手ならすみませんこれからも体調にきよつけてがんばてください。 (2017年9月23日 16時) (レス) id: 14f5017be6 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - ひかるさん» コメントありがとうございます。なかなか占ツクに浮上する事ができませんが更新頑張りたいと思います。 (2017年6月17日 22時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
ひかる - ウォォォ!続きが気になります。(>_<)更新頑張って下さい! (2017年6月17日 14時) (レス) id: c10de46325 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - ふにゃたさん» コメントありがとうございます。更新頑張りたいと思います。 (2017年4月3日 21時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雨雫 | 作成日時:2017年2月24日 23時