モブ34 ページ37
『木村、しっかりしてよ』
「へ!?あ、うん!?」
手を繋いでから木村はずっとこんな感じだ。
何を訊いても上の空。
そんなんだとヒロインに怪しまれるからね。
『で、どこ行くのさ』
「か、考えてたのは遊園地
隣の四塚市に最近出来たらしいんだ」
あぁ、四塚市か。
私は1人で頷いた。
あそこは四塚マリンワールドとかタマガタワーとか娯楽施設が多いから。
『遊園地、か。私久しぶりだわ』
あ、なんか私の死/んだ魚のような目が一瞬輝いた気がする。
木村はポリポリと鼻の頭を搔いて、照れ臭げだった。
「じゃあ行こうか柊」
『そうだね』
後ろのヒロインに見せ付けるように私は指を絡めた。
まぁ、俗に言う恋人繋ぎというものだ。
ピリピリと殺気を感じて私はニヤリと笑う。
所詮モブの私に嫉妬するって、あんたはヒロインじゃなかったワケ?
木村じゃなくてもあんたを守ってくれる
四塚市行きの快速電車乗り、私は木村と席に着いた。
「・・・・・」
『アイツ、私の事スゴイ睨んで来てるんだけど』
こそりと木村に言えば、木村は「お、おぉ」と中途半端な返事をして窓から外を見ていた。
電車の窓から流れて見える景色は三門から徐々に変わって行き、やがてボーダー本部すら見えなくなった。
電車が停る度に増える乗客。
暖かい車内。
外の風景を眺めるのも飽きてきて、私は瞼をゆるゆると下ろした。
『きむら〜・・・ついたら、おこして』
「え、あ、おぉ!」
木村の慌てるような声が聞こえた気がしたけど、もう我慢ならない。
車内の雑音もヒロインからの視線も、私の中から完全に消えた。
今だけ木村に甘えたい。
彼の甘い匂いに誘われるように、少女の意識はブラックアウトした。
195人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
明太子 - いやぁ、夢主めっちゃイケメン出くわすすね。そして父になる木村君可愛いです。かっこいいです。更新待ってます! (2021年4月6日 19時) (レス) id: d3d949044b (このIDを非表示/違反報告)
ジュリ - めっちゃ面白いです更新楽しみにしてます! (2017年11月5日 16時) (レス) id: 84c51744c8 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 夢猫さん» ありがとうございます。頑張ります。 (2017年2月7日 7時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
夢猫(プロフ) - わかりました。気長に待ってますね(^^) ゆっくりでいいので、思い付いたら更新してください。 (2017年2月6日 1時) (レス) id: 9920389b24 (このIDを非表示/違反報告)
RAIN@元アラジンlove(プロフ) - 碧葉ユリさん» コメントありがとうございます。とても嬉しいです。更新頑張ります。 (2017年1月7日 14時) (レス) id: 5aca2d49f2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:RAIN@元アラジンlove | 作成日時:2016年12月26日 13時