EP7 大好きだよ ページ29
「どうだった？」
「二人とも爆睡。」
「そう、よかった。」
2階にいる二人を置いて、電気を消す。万が一のために仮の鍵をキッチンに置いて、置き手紙を残した。夜起きてお腹が空いてても良いように阿部の体調を気遣った宮舘特製のお粥も置いてある。
至れり尽くせりだ。
「外寒いかな」
「寒いよ、絶対。」
「やだなー。」
もう気がついたら冬だ。
外はビュービュー音が鳴って風が吹いているし、乾燥で唇がカサカサ。冬入るまでは防寒なんかしないくせに実は寒いのが嫌いでマフラーで渡辺の顔半分が無くなるのを見て面白おかしく笑った。
扉を開けると予想以上の冷たさ、空気が寒くて吐いた息が白い。
寒い寒い言いながら、鍵を閉めて歩き出すと、店の看板の下に目黒がいた。
マフラーをつけてずっと待っていたであろう姿は電気のない暗い店と二人しかない影を見てじとりと睨んだ。
「亮平は？」
冷たく声が響く。今の気温みたいで、息が白く濁った。問い詰める目黒に渡辺がそれ以上の怒りをぶつけようとするのを横目で見て、止めたのは宮舘だった。
「目黒さん、ちょっと話あるんだけど、いい？」
宮舘の冷静な言葉に目黒は仏頂面で縦に首を振った。
寒かったが、店に入れるつもりはない。店の隣の公園に出向くと、夜だから人気はなく街頭に照らされた3人だけの影が映っていた。
ベンチに誘い、渡辺をそばに置いて宮舘は気持ちを抑え、口を開いた。
「目黒さんはさ、ほんとに阿部のことわかってる？」
「.......なにが、ですか」
「阿部は、毎日昼休み、二階の部屋で寝てるよ。睡眠不足かな、阿部って普段9時に寝る子だからね。頭ふらふらしちゃって、一個もなかったミスも増えて、隈だって真っ青。最近痩せたよね。いつも何時まで阿部のこと酷使してるの？」
目黒はゆっくりと唇を噛んだ。
淡々と話す口調は追い詰められているみたいで、言い返したかったが何かが自分を止めているみたいだった。そうしたら出てくるのはか細い自分の声だけで、情けなく息を吐くようにつぶやいた。
「おれ.....亮平のこと、好きで、不安で、」
小さく流れ出た言葉に宮舘はため息をこぼす。
「目黒さんって自分の気持ち、押し付けてばっかり。」
小さく、息が飛び出る。
最初は宮舘と話して強引に阿部を持ち帰るつもりだった。自分のそばにいないと、自分が、不安で、寝られない。全部自分の気持ちで、突っ走って、やっぱり、愛想笑いをした阿部に自分の都合を押し付けてばっかりだった。
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にゃん(プロフ) - dtab担さん» コメントありがとうございます！頑張ります、更新ゆっくりですが最後まで楽しんでいただけると嬉しいです(T . T) (2022年11月24日 9時) (
レス) id: d8a81e8bcd (このIDを非表示/違反報告)
dtab担 - お話大好きです！ふかあべのペアが大好きなので嬉しいです！更新待ってます！ (2022年10月7日 20時) (レス) @page25 id: 2b0f5d8a84 (このIDを非表示/違反報告)
Myuuu(プロフ) - めめあべ なべあべ ふかあべ (2021年12月10日 14時) (レス) id: 39d780231e (このIDを非表示/違反報告)
佐藤(プロフ) - 切ない…ふっかさん…！！😭 (2021年12月6日 9時) (レス) @page8 id: 4c17d9f925 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にゃん | 作成日時：2021年12月5日 14時
