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深澤はその不安そうに下がった口角を上げさせると、阿部の頭を撫でた。そういえば、ふっかはいつも俺を笑顔にさせてくれていた、と思い出す。
いつもなら早く寝て、仕事して、帰ったら目黒と、そんなことばかり考えて自分を追い詰めていたが、今は安心して眠りにつけそうだった。
起きるのが億劫だとも思わない、深澤の帰りを待ってるのも、心が安らいだ。
阿部の言葉通りマッハで帰ってきたが、ベッドに横たわる阿部は寝息を立てていた。どんだけ身体に負担をかけたのか、頬を撫でると猫みたいに擦り寄る。
可愛くて頬がゆるゆるだ。
前髪がかかった目、まつ毛なげー、って笑う。
濃くなった隈、すりすりと親指で撫でた。消えてくんねーかな。俺の魔法で、阿部の悩み全部消えてくれればいいのに。
そんな野暮なこと思ったりして。さっき通った涙の跡をまた親指でなぞる。泣かせたくないな、もう。阿部の泣いてる姿なんか見たくなかった。
俺だったら、俺だったら。
阿部に嫌がられてるのは知ってるけど.....そんな現実にない空想が頭にぽんぽん浮かんだ。
すやすやと眠る阿部の頬を撫でていると、その手をパシッと取られて、胸がトクりと鳴った。怒られるか、と思って身構えたが、阿部はうすら目を開けて、ゆっくりと口を開いた。
「隣、寝て」
「え？」
「いいから、寝て」
布団を持ち上げられて一人分のスペースを空けられ、戸惑いながらも深澤は腰を上げた。人肌が恋しくなったのか、阿部の体温で温められたベッドの中に入ると深澤の身体は阿部に巻き付かれたようで身動きが取れなくなった。
少しでも近くに阿部を感じたくて腰を抱き寄せると、阿部は安心し切った顔で寝息を立てて寝ていた。蓋をしようとしていた恋心にむくむくと火が灯る。
もう一度触れる日が来るとは思っていなかった。
あの日、散々な別れ方をしてから阿部のことを忘れた時は一度もなかった。忘れたくても忘れられない。最後に引き留めた背中はすぐに無くなってしまったけれど、また触れられた。
阿部の寝息、寝顔、トクトクと聞こえる心臓の音。全てがまた息をするたび好きになる。
あの時封じ込めた想いが溢れ出てきそうで唇を噛む。自分に好意がなくてもいいからずっとこの時間が続いてほしい、と願うだけはタダだ。
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にゃん(プロフ) - dtab担さん» コメントありがとうございます！頑張ります、更新ゆっくりですが最後まで楽しんでいただけると嬉しいです(T . T) (2022年11月24日 9時) (
レス) id: d8a81e8bcd (このIDを非表示/違反報告)
dtab担 - お話大好きです！ふかあべのペアが大好きなので嬉しいです！更新待ってます！ (2022年10月7日 20時) (レス) @page25 id: 2b0f5d8a84 (このIDを非表示/違反報告)
Myuuu(プロフ) - めめあべ なべあべ ふかあべ (2021年12月10日 14時) (レス) id: 39d780231e (このIDを非表示/違反報告)
佐藤(プロフ) - 切ない…ふっかさん…！！😭 (2021年12月6日 9時) (レス) @page8 id: 4c17d9f925 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：にゃん | 作成日時：2021年12月5日 14時
