petit dejeuner

EP3 寂しい夜 ページ12

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「今度は何だって？」
「ドライブで海連れていってくれるんだって！」
「海？」
「楽しみ」
「お前OKしたの？」
「そりゃ、」

トレーを抱えて笑みを浮かべてカウンターに戻ってきた阿部に深澤はしょげた。海、海か。ロマンチックな場面で目黒は告白するんだろうか。など考えてみる。目黒の好意は深澤まで伝わっていた。焦る気持ちと阿部を離してやれない自分の強欲に狂いそうだった。

阿部の緩んだ頬を見て深澤は宮舘の作ったオムライスをかけ込んだ。







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「海、俺と行こ。」
「何でよ、目黒さんと行くから」
「俺と行った方が楽しいって」

阿部はんー、と唸った。深澤を諦めさせる方法をどうにか探してるのかもしれないが、俺の言葉に対しては否定しないんだ、と嬉しくなる。

「.....じゃあ、ふっかは車で連れてってくれるの？」
「俺は運転出来ねーし。」
「ほら、ね？」
「でも、電車で行くことぐらいできるだろ？」
「車の方がいいよ」
「電車の方が疲れない」
「そう？」
「電車で俺と一緒に行こ。目黒の誘い今から断って」
「やだよ。」

即答した阿部の口を口で塞いだ。

「...深澤。」
「だってさあ、」

怒る阿部。口を尖らす深澤の頭を一発殴り、お風呂に向かった。殴られた頭を自分で優しく撫でる。
可愛いんだけど力強いんだよな。

阿部には何度か殴られたことがある。高校時代付き纏いすぎて廊下で一発、帰り道で一発、家の前で二発。
深澤は焦っていた。殴られても何されても阿部のそばにいたかった。



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