ワガママ《赤》 (ページ42)

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「あ、あの…重岡先輩いますか？」

休み時間

可愛い後輩の子が重岡くんを呼んだ。

「お、なにー？」

「あ、えっと…お話があるんですけど、少しいいですか？」

ええよーと、重岡くんは後輩の子の後を追って教室を出た。

「…なんや、告白か？」

「…すごいね、告白なんて勇気でないよ」

「重岡、付き合っちゃえばいいのに」

さりげなく呟いたカナの言葉に

少し胸がざわついた。

「どーする？重岡が告白OKしたら」

「え、どうって…」

素直におめでとうって言えばいいだけの話だけど

なんだか、そう上手くはいかない気がする。

彼女ができてしまえば、私に向けてくれた笑顔は

もう見れなくなるかもしれない。

「まぁでも、パシりも終わるんちゃう？」

「…そうだね」

「……A、今どんな気持ち？複雑？」

「えっ、」

カナは真剣な顔で痛いとこを突いてくる。

正直に言えば、カナの言う通り。

すごく複雑。

「よく分かんないけど、嫌だなって…」

「それ、重岡に恋してるんやと思うよ」

え！？

とはならなかった。

どこかで薄々気付いていたのかもしれない。

球技大会で、自惚れそうになったのを思い出したから。

嫉妬してくれてたらいいのにって。

…重岡くん、さっきの子と付き合っちゃうのかな。

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