ワガママ《赤》 (ページ20)

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「あ、Aさん…すよね」

「え、はい」

廊下で声をかけてきたのは、モデル(仮)。

こんなイケメンに名前呼ばれた…

「流星知りません？」

「藤井くん？ …移動教室かな」

「あー、まじすか」

「部活のこと？」

「はい、今日部活ないって伝えに来たんす」

「私からでよければ伝えておこうか？」

「えー、いんすか？」

「大丈夫だよ」

「あざっす！」

イケメンとこんなに話しちゃった。

この前藤井くんと歩いてた時は一言も交わさなかったのに。

最後の笑顔、眩しかったぁ…

「重岡くん」

「んー？」

「今日部活ないって」

「まじか、やったー。それ誰に聞いたん？」

「モデルみたいなイケメン」

名前を知らないからそう言うと、重岡くんはん？って顔をする。

けど、すぐにひらめいたようだった。

「小瀧か！」

小瀧っていうんだ。

「あんなイケメンに近寄ったらあかんで」

「私なんかが近寄れないよ」

「その言い方やと、俺やったらいいってことか！」

「だって重岡くんワガママだし」

「関係ないやんけ！！」

「ある！！」

「とにかく、あかん！！」

「痴話喧嘩か」

カナのひと言で静まった。

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