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───キーンコーンカーンコーン ・・・
「Aちゃーん」
「どうしたの?」
授業も掃除も終わり、あとは帰るだけ。
そんな時、重岡くんが嬉しそうに私を呼んだ。
「雨降ってんで!」
「え… あ、ほんとだ」
窓の外を見ると、たしかに雨が降っていた。
朝のニュースで、夕方から雨が降るかもって言ってたし、傘持って来といて正解だったな。
「俺な、傘持ってへんねん」
「それは大変だね」
「Aちゃん冷たい!」
と言われましても、私自分の傘しか持ってないから…
「1本しかないから、」
「1本あれば十分や。 一緒に帰るで!」
「え、」
ほらほら と腕を引かれる。
これって相合傘するってことだよね…
いや待て、私の傘を奪って帰るのか?
重岡くんなら有り得るぞ…
って思ってたけど、普通に相合傘でした。
距離近いし、重岡くんいい匂いするし、ちょっと緊張。
「女の子と相合傘すんの初めてやなぁ」
「そうなの?」
「おん。 Aちゃんが初めてやで」
…悪い気はしないですね。
重岡くんが傘を持ってくれてるんだけど、肩にかけたエナメルバッグが濡れてる。
傘を重岡くんの方に傾けようとすると、阻止される。
「気ぃ遣いさんやなぁ」
「傘持ってもらってるし」
「傘入れてもろてるし」
…言い返せない。
黙り込んでしまうと、あははっ と笑う重岡くん。
今日はいつもよりちょっとだけ、ほんのちょっとだけ大人だなって思った。
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とき。(プロフ) - ぴゃらっぽさん» ありがとうございます(;;) (2019年8月23日 20時) (レス) id: 4629781c4e (このIDを非表示/違反報告)
ぴゃらっぽ(プロフ) - 更新楽しみにしてます ! (2019年8月22日 1時) (レス) id: 01656dec6b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Hi | 作成日時:2019年8月5日 10時