ワガママ《赤》 (ページ11)

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そして私の普通でない日常は続いた。

「Aちゃーん！」

この声、この呼び方、もう振り向かなくても分かる。

天使のような悪魔が今日も私を呼んでいる…

「なぁ、なんで無視すんの？」

頭に腕を置いて「なぁなぁ」と寄りかかってくる。

言動がいちいち可愛い。

だが重い。

重岡くんは加減を知らないのだと思う。

「重岡くん、ちょっと重いかな」

「だってAちゃんこっち向かへんからさぁ」

「パシリと分かってて向くアホいないって」

「パシリ？ちゃうちゃう、頼みごとやで！」

重岡くんの場合、それをパシリと言うのではないだろうか。

「じゃじゃーーん！」

「えっ」

「120え～ん」

某国民的アニメキャラのモノマネをしながら出したのは

紛れもなく120円だった。

「し、重岡くん…！！どうしたの！！」

「やっぱ頼むんやし、金くらい出さななぁ」

「すごい成長…！」

「せやろ～」

あの重岡くんが…

私に有無を言わさずミルクティーを奢らせてきた重岡くんが自ら120円を…！！

そのやり取りを見ていたカナがため息をひとつ。

「でもさ、それって結局パシリやん」

「パシリちゃうって、頼みごと！」

わざと怒ったような顔をしてそう言った重岡くん。

そんな顔もお綺麗で。

カナもはいはいと呆れていた。

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