8話 ページ9
「こいつらが、最近活発に活動している攘夷浪士どもだ。」
新選組の定例会議で明らかになった、攘夷浪士たち。
土方さんの話によれば、この攘夷浪士たちは数十人で徒党を組んでいるらしい。
今後大きく発展しそうな危険因子は早めに潰しておく、ということが私達隊士に告げられた。
新選組になって、何度も経験してきた殲滅。
経験すれば経験するほど、得るものはある。
けれど、それと同時に劣等感も降り積もってゆくのだ。
自分のせいで逃してしまった獲物。
自分が違う動きをしていれば、捕らえられたかもしれない獲物。
もしものことを考えればキリがないのはわかっているけれど、どうしても得たものより得られなかったものを数えてしまうのだ。
得るものがある喜びより、得られたかもしれないものを得られなかった悔しさが大きい。
だから、何度経験しても慣れないのだ。
歯を食いしばるほどの劣等感と悔しさに、慣れることができないから。
「何ボーッとしてるんでィ。」
私の顔を覗き込んでくる総悟。
悔しさの、劣等感の原因であるこいつに、私はどういう反応をしていいかわからない。
だからいつも決まって、笑顔でこういうのだ。
「何でもないよ。」
と。
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作者名:けんそう | 作成日時:2018年5月11日 7時