21話 ページ22
散々泣き腫らした目は腫れて、真っ赤だった。
夜の静かな屯所で、一人縁側に腰掛けた。
謝らなければいけない相手に、まだ何も言えていない意気地なしの私が、まだここにいた。
けれど、いつだって
「こんな夜更けに何してんだ。」
「まだ寝てなかったんですか、土方さん。」
土方さんは私の横に腰を下ろすと、煙草をふかしはじめた。
「お前、総悟と何かあったか。」
急に発せられた総悟、という単語にピクリと肩が跳ねてしまう。
つくづく、隠し事が苦手な性格だと自覚するけれど、ここまで私はわかりやすいだろうか。
私が吃って、暫く何も答えられなくても、土方さんは何も聞き返してはこなかった。
土方さんは私のことを心配してくれている。
けれど、その悩みを無無理矢理聞き出そうとしてくるわけでもなく、私が口を開けるまで待ってくれているのだ。
「ひじか、たさん。」
本当に泣きたくない時に限って、涙は止まらない。
ただでさえ泣き腫らしてしまったばかりなのに。
これ以上泣くことなんてないと思っていたのに。
こういう優しさが、傷ついた心に深く滲みるのだ。
本当の弱さは、性別ではなく、私の甘えた考えのせいなのかもしれない。
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作者名:けんそう | 作成日時:2018年5月11日 7時