14話 ページ15
「ねぇ、銀時。」
ヒューヒューとおかしな音の息をたてながら喋るそいつに、俺は我慢ならなかった。
「お前はもう喋んな。
大人しくしてろ。
そうしたら__」
「助からないよ。」
Aは真っ直ぐに俺を見ていた。
「銀時だって、分かってるでしょ。
助からないよ。
私はもう、助からない。」
そうだ、俺は知っている。
この出血量でAが助からないことを。
それなのに、どこか期待していた。
「私が助からないのは、銀時のせいじゃないよ。
銀時の制止を振り切って戦争にきたのは私だから。
銀時は、戦場で私を守る自信がないって言ったよね。
私も、同じなの。
寺子屋で、銀時たちのことを笑顔で待ってる自信がなかった。
銀時は強いって信じてる。
けど、もし攻撃に巻き込まれたら、とか。
考え出したらキリがない。
私は、こんなにも情けない。
私には、銀時を信じて待つ自信がなかった。」
自称気味に笑うそいつの頭の近く、岩の割れ目に、一輪の向日葵が咲いていた。
元気に走り回っていた頃のそいつが不意に脳裏に浮かんだ。
過去の輝いた思い出を思い出せば、おかしくなってしまいそうで、俺は昔の記憶を振り払うように首を振った。
32人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
凛 - とても良かったです! (2022年12月20日 19時) (レス) @page36 id: 0db889cc25 (このIDを非表示/違反報告)
けんそう(プロフ) - 岩長漆@三色団子と朧大事さん» ありがとうございます!そういったコメントが一番の励みになります!今後も皆さんにお話を届けられるよう頑張ります! (2018年6月11日 8時) (レス) id: aaf4aecbc2 (このIDを非表示/違反報告)
岩長漆@三色団子と朧大事(プロフ) - 突然失礼いたします、岩長と申します!けんそう様の作品読ませて頂き、とても感動しました!次作の方も頑張ってください!応援しております! (2018年6月10日 22時) (レス) id: c1dc633bc5 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:けんそう | 作成日時:2018年2月10日 20時