♛︎episode242＿＿蕾 ページ2
✘
人っていうのは案外単純で、勝手な生き物だ。
どんなに嫌っていた相手でもキッカケさえあれば、今までどうでもよかったことがそうじゃなくなって興味を惹かれる。
脈絡もなく投げかけた質問は いざ自分から口にしたら恥ずかしかったけど、好奇心には逆らえなかった。鳩が豆鉄砲を食らったような顔で瞬きを繰り返す玲王に言葉を紡いだ。
「ほら、昔私に言ってたじゃん。サッカーなんてつまんない、おもしろくないって」
「あー……そんなこと言ったっけ」
「言った」
きゅ、っと固く締めたボトルを玲王の顎に突きつけた。
私の咎めるような視線に冷や汗を垂らした玲王が「あーうん、言った言った、言ったわ」と、手を前に突き出しながら明後日の方を向く。
──こいつ絶対忘れてるな、私のカンがそう言った。
「今は、どうなの」
「……好き、かどうかは分かんねぇ」
「は？そこは好きって即答するところでしょ」
なんとも煮え切らない返答に、眉を顰めた。
頬をかいて、視線を宙に彷徨わせる玲王は 本当に分からないといった様子だ。
「じゃあなんで
「それは前にも話したろ？俺はW杯の優勝杯が欲しい、そう思ったからサッカーを始めた。正直まだ世界一のストライカーとか言われてもピンときてねーけど、俺が叶えたい夢は確かにその先に実在してる。俺は、自分の夢を叶えるために
首を私の方へと傾けて「だろ？」と、挑戦的な笑みを口元に浮かべる玲王。モノクロだった世界に色彩を与えられたみたいに、澄み切った
───いや、そんなことよりも。
「(こんなに、かっこよかったっけ)」
「まあでもサッカーしてたら新しい自分がどんどん見つかるし、今までにない刺激を味わえるから楽しい、っちゃ楽しいかもな。サッカーしてなきゃ凪にも絶対出会えてなかったし。──それにA、お前とも再会出来たっ！」
物珍しく眺めて魅入られたように茫然となってしまう。
自分の意志とは無関係に、瞼が大きく開いていた。からからに乾いた眼球の表面が、じっと玲王を見つめ続ける。
今まで見ないフリをしてきた私にとって、この時見せた玲王の姿は脳に深く刻まれるほどまでに印象的だった。
♛︎episode243＿＿主人公→←♛︎episode241＿＿猫
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はもに(プロフ) - 瑞稀さん» 瑞稀さん、コメントありがとうございます。玲王と凪のすれ違いは見てて辛いものがありますよね…。寵マリはさらに輪をかけてなのでこれからの玲王の行動にも注目して頂けると幸いです！ (2023年4月28日 20時) (
レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
瑞稀(プロフ) - れ玲王〜〜ほんとこのコンビは言葉足らずが、、玲王の精神状態原作の数倍やばそう (2023年4月19日 3時) (レス) @page21 id: 3f4ee46d03 (このIDを非表示/違反報告)
はもに(プロフ) - ヤマシタ恋白さん» ｱ~~~~ヤマちゃんだ！！！ツクからご感想貰えるなんてはもに感激です、、！！お礼を言うのは私の方だよ~~~仲良くしてくれて本当にありがとね、お祝いのお言葉も感謝ですᵕ̈* これからも寵マリ共々よろしくしてくれると嬉しいです💕 (2023年4月14日 1時) (レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
はもに(プロフ) - 青さん» 青さん、お祝いのお言葉ありがとうございます！ここから玲王と神崎の関係値が大きく変わるキッカケになるお話でしたので楽しんで頂けたようでとても嬉しいです。これからもご期待に添えられるよう尽力致しますのでよろしくお願いします🥰 (2023年4月14日 1時) (レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
はもに(プロフ) - 凛香奈さん» 凛香奈さん、いつも真っ先にコメントしてくださり本当にありがとうございます！Twitterの方もフォローしてくださっていたなんて感激です、、！！番外編もご愛読されてると聞き、活力が湧きました！！これからも何卒、引き続きよろしくお願いします‼️ (2023年4月14日 1時) (レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はもに | 作成日時：2023年4月11日 18時
