episode129＿＿一面 ページ33
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受け止めてくれた千切にお礼を言って、身体を離してもらった。どうやら千切は試合中の時点で、私が入場口にいたことに気づいていたらしい。なんでわざわざ見に来たのか、と訊ねられたから事の経緯を説明したら少し呆れた顔をされた。
「じゃあな」
「あ、待って千切！」
更衣室に戻ろうとした千切を慌てて呼び止めた。踏み出した一歩を引っ込めて、不思議そうな顔して振り返ってくれる。千切にはどうしても伝えておかなくちゃいけないことがあった。
「あのさ、足のことなんだけど」
「調べたんだろ？」
「……！ごめん」
まさか、気づかれてたなんて。後ろめたい気持ちから視線を横に逸らした。千切の顔を見るのが怖い。詮索はしないと言った手前だから余計に心苦しくて、今になって胸が痛んでる。
「いいよ別に、隠す必要もなくなったわけだし。つーかむしろ、今まで調べてなかった方が不思議なくらいだよ。俺に適当な嘘ついて誤魔化すことだってできたろ？」
「それはそう、なんだけどさ。私は千切の口から聞きたかったんだよ。ただの口約束でもちゃんと待ってたかった」
「ま、それもお前が破ったんだから世話ねーよな」
言葉の岩石が頭にズシン、と落ちてきた。「ヴッ……」潰されたみたいな声が出る。だけどソレは責めたてるような声色じゃなかった。片目を閉じて 私を見下ろす千切の口元はわずかに弧を描いていて、怒っているという風には見えなかった。
「お前、やっぱり変わってるよ」
「前も言ってたよね、それ。どういう意味？」
「そーゆーとこだよ」
「だからどういう……」
「前時代的な考え持ったバカ真面目なところ」
それは褒め、てるのか。頭のあちこちに疑問符が浮かんだ。いやバカと言われているのだから貶されている気がする。眉を八の字にして首を捻ってると、額を人差し指でつん、と、突かれた。「だからそういうとこだっつーの」千切が薄く笑んだ。
「あ、笑った」
「は？」
「千切が笑った」
「いや、そりゃ笑う時は笑うだろ 人間なんだから」
「そうじゃなくて、初めて見たから驚いたの」
「新鮮だ」ぽとりと雫のように呟いた私の言葉に、千切はいまいち分からないって顔をしてる。今までずっと顰めっ面とか何考えてるかわかんない顔しか見たことなかったから、てっきり表情が乏しい人なのだとばかり思ってた。でも、違ったみたいだ。
「なんか、別人みたいだ。本当に千切？」
「俺以外に誰がいんだよ」
──千切は、意外とよく喋る。
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はもに(プロフ) - かっぱさん» かっぱさん、はじめまして！励みのコメントありがとうございます。一番なんてお言葉頂けて感無量です、、❕これからもご期待に添えられますよう頑張りますᵕ̈* (2023年2月20日 0時) (
レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
かっぱ - このお話本当に大好きで、一番気にいってます♡これからも応援してますね!! (2023年2月19日 21時) (レス) @page49 id: 3275caf583 (このIDを非表示/違反報告)
はもに(プロフ) - 七子さん» 七子ちゃん、感想投げてくれてありがとう❕ ちょっとドギマギの三角関係ではあるけれど、話の落とし所はちゃんと決めてるので見守ってもらえると嬉しいᵕ̈* いつも応援してくれて励みもらってます！これからもよろしくね❣️ (2023年2月17日 0時) (レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
七子(プロフ) - 潔が好き⁈⁈⁈そんなの…そんなのあんまりよ‼︎二次創作でレオと存分にイチャつかせてやるんだから（現実逃避） (2023年2月15日 21時) (レス) @page35 id: 749c6d74de (このIDを非表示/違反報告)
はもに(プロフ) - 凛香奈さん» 凛香奈さん、初めまして！繰り返し読んでいただけてるという事実に感極まってしまいました🥲ここ最近更新の時間帯が不定期ですが、引き続き頑張っていきたいと思います！応援ありがとうございます🙇♂️とても励みになりました！ (2023年2月13日 0時) (レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はもに | 作成日時：2023年2月7日 18時
