episode127＿＿赤豹 ページ31
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暴走状態に入った世一を止められる選手は、このフィールドには誰もいない。単独で攻め上がることに執着した世一は、パスを要求する仲間の声に耳も貸さずにボールの奪い、奪われを繰り返していた。
膠着状態が続くけど、時間は一分を切ってる。次奪われたら、チームZは負けてしまう。
「……ッ!?」
応援することも 声を出すことも出来ずに胸の前で祈るように手を組むことしかできなかった私に、突如襲った殺気。どこからともなく感じた、背を這い上がってくるような気配に身震いをする。私に向けられてるものじゃないことはすぐに理解出来た。
「(じゃあ一体どこから？)」
なんて、考えなくてもわかる。今、このフィールドで一番苦悩している人物、千切だ。明らかに雰囲気が違う。片膝をついて、自分を突き飛ばした世一の背中を忌々しげな表情で見据えてる。歯を食いしばるその姿は葛藤しているようにも見えた。
「残した、潔！パス出せ！」
吠えるような声に、私の意識は再びフィールドの前線に引き戻された。國神が、チームＷのDFをかいくぐって前に出てる。これはチャンスだ。ここで点を取らなければチームZの敗退は確実。出し惜しむ必要なんて、無いはず。
「(いや、違う。なにか来るのを、待ってる……？)」
その考えが、ふと、私の脳裏を過ぎったのとほぼ同時に、世一が初めてパスを繰り出した。だけどボールは 後方にいた國神の頭上を大きく飛んで、誰もいない逆サイドに向かってる。
「……あっ」
フィールドの外にいる私だから見えた、世一のパスコースに迫る赤い風。タッチラインギリギリを駆け上る千切の姿が目に飛び込んだ。
──千切が、走ってる。急になんで、どうして。世一に突き動かされた？ そんな疑問が しゃぼん玉のように次々と出てきたけど、今注目すべきはそのスピードだ。
「やっば、めっちゃ速い……!!」
いつだったか、スポーツ新聞で目にしたことがある赤豹という千切の二つ名。疾風の如く駆けて、誰の目にも触れない位置からボールを奪りに向かうその姿はまさに、息を潜めて獲物を狙う「狩り」の動きそのもの。
「はは、なにあれ。とんでもない
胸の辺りから笑いの漣が込み上げてくる。
絡みついていた呪縛を解き放って、加速した千切を止めることは もはや不可能に近い。仲間にまで隠して、内に秘めてい千切の武器が、チームＷを相手に牙を向いた。
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はもに(プロフ) - かっぱさん» かっぱさん、はじめまして！励みのコメントありがとうございます。一番なんてお言葉頂けて感無量です、、❕これからもご期待に添えられますよう頑張りますᵕ̈* (2023年2月20日 0時) (
レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
かっぱ - このお話本当に大好きで、一番気にいってます♡これからも応援してますね!! (2023年2月19日 21時) (レス) @page49 id: 3275caf583 (このIDを非表示/違反報告)
はもに(プロフ) - 七子さん» 七子ちゃん、感想投げてくれてありがとう❕ ちょっとドギマギの三角関係ではあるけれど、話の落とし所はちゃんと決めてるので見守ってもらえると嬉しいᵕ̈* いつも応援してくれて励みもらってます！これからもよろしくね❣️ (2023年2月17日 0時) (レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
七子(プロフ) - 潔が好き⁈⁈⁈そんなの…そんなのあんまりよ‼︎二次創作でレオと存分にイチャつかせてやるんだから（現実逃避） (2023年2月15日 21時) (レス) @page35 id: 749c6d74de (このIDを非表示/違反報告)
はもに(プロフ) - 凛香奈さん» 凛香奈さん、初めまして！繰り返し読んでいただけてるという事実に感極まってしまいました🥲ここ最近更新の時間帯が不定期ですが、引き続き頑張っていきたいと思います！応援ありがとうございます🙇♂️とても励みになりました！ (2023年2月13日 0時) (レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はもに | 作成日時：2023年2月7日 18時
