♛︎episode110＿＿独占 ページ14
✘
「ほら、できたぞ」
頭をぽんぽん、と叩かれて手鏡を後ろから渡される。なんで玲王が手鏡なんか持ってるんだ、と思ったけど気にしないでおく。
──玲王は器用だ。試合中に髪を結んでいることもあって仕上がりも憎らしいほど綺麗だった。結ばれた両サイドの位置もピッタリで、横髪まで均等に揃えられてる。
「……綺麗」
「だろ？」
得意気な顔で鼻を鳴らした玲王と鏡越しに目が合って、うつむき加減に視線を逸らす。頭を撫でるその手を払って、私は手鏡を片手に前髪を整える。
「そういやお前、なんで髪伸ばしたの？」
「は？なにその質問」
「いいじゃん教えろよ、結んでやったんだからさ」
「恩着せがましい……」
なんでなんで、と無垢な子供みたいに好奇心を寄せて 横から覗き込んでくる玲王。私は埃を払うような感覚で、鬱陶しいという気持ちを込めて玲王に手を振った。
「俺は短い方が好きだった」
いや知らねーよ、心の中で毒を吐く。結んだばかりの髪をすくって 少し寂しそうに呟く玲王を一瞥して、持ってた手鏡を押しつけた。
「玲王の好きとか知るか。長いのが好き、って言われたから伸ばしたんだ。分かったらそれ以上触ん＿＿」
そこまで言いかけて、ハッとした。慌てて自分の口を手で塞ぐけれど、 吐いた唾は呑み込めない。「は？誰に」さっきと違う玲王の声色に背筋が凍った。恐る恐る振り返ると、玲王の顔には深い影が落ちてた。すー……っと視線を横に逸らす。
その反応が逆に玲王に火をつけてしまったようで、後ろから両肩を掴まれた私は また身体を反転させられて、玲王と向かい合うようなかたちで対面してしまう。
「誰に言われたんだよ」
「……お、教えない」
「教えろ」
「やだ」
「教えろ」
「イ・ヤ!!」
覗き込むような角度で問い質してくる玲王が怖くて臆してしまうけれど、負けじと言い返す。玲王の独占欲の強さは身をもって知っていたから、今すごく不機嫌だということは痛いほど分かる。
「お前を誑かしたのはどこの馬の骨だ、ぶっ殺す」
「やめろぉ！！」
「じゃあ一歩譲って社会的抹殺だな……」
「物騒！！」
わなわなと震えながら物騒な言葉を連発する玲王。掴まれた肩に力が込められて、顔を歪めた。「尚更教えるもんか！」私が声を張り上げた刹那、玲王が ふらふらと立ち上がってベッドから降りた。
え、なんだ。隙をついて逃げるチャンスはいくらでもあったのに、ベッドに身体が縫い付けられたみたいに動けなかった。
♛︎episode111＿＿焦燥→←♛︎episode109＿＿建前
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はもに(プロフ) - かっぱさん» かっぱさん、はじめまして！励みのコメントありがとうございます。一番なんてお言葉頂けて感無量です、、❕これからもご期待に添えられますよう頑張りますᵕ̈* (2023年2月20日 0時) (
レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
かっぱ - このお話本当に大好きで、一番気にいってます♡これからも応援してますね!! (2023年2月19日 21時) (レス) @page49 id: 3275caf583 (このIDを非表示/違反報告)
はもに(プロフ) - 七子さん» 七子ちゃん、感想投げてくれてありがとう❕ ちょっとドギマギの三角関係ではあるけれど、話の落とし所はちゃんと決めてるので見守ってもらえると嬉しいᵕ̈* いつも応援してくれて励みもらってます！これからもよろしくね❣️ (2023年2月17日 0時) (レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
七子(プロフ) - 潔が好き⁈⁈⁈そんなの…そんなのあんまりよ‼︎二次創作でレオと存分にイチャつかせてやるんだから（現実逃避） (2023年2月15日 21時) (レス) @page35 id: 749c6d74de (このIDを非表示/違反報告)
はもに(プロフ) - 凛香奈さん» 凛香奈さん、初めまして！繰り返し読んでいただけてるという事実に感極まってしまいました🥲ここ最近更新の時間帯が不定期ですが、引き続き頑張っていきたいと思います！応援ありがとうございます🙇♂️とても励みになりました！ (2023年2月13日 0時) (レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はもに | 作成日時：2023年2月7日 18時
