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そんなある日のこと。クラスの奴らと一緒に他愛もない話をしながら廊下を歩いてた時、四年二組の札が見えて不意に立ち止まった。そういやA、隣のクラスだったな。なんてことを考えて、俺は興味本位で開きっぱなしの扉から中を覗いた。
『Aちゃんすごーい！けん玉上手！』
『今のどうやったの？もっかい見せて！』
『えへへ、じゃあもっかいやるね！そーれっ』
友達に囲まれて楽しそうに談笑してるAを見て、自分の目を疑った。だってアイツは、俺の前で一度もあんな風に笑ったことがない。寡黙で大人しいやつ、つまんない奴だと思ってたのに。
能面みたいな顔してたAが、今は楽しそうに笑ってる。その笑顔に、俺は暫くその場から動けなくなるほど見惚れていた。同時に、あれが素のAなんだって理解した。
『俺にも あの笑顔を向けてほしい！』
好奇心に突き動かされた俺は それからAを遊園地や動物園、水族館、とにかく喜びそうなとこに連れてった。楽しくないわけないのに、それでもAは表情を変えなかった。
『お前さ、なんで俺といる時は笑わないの？』
『だって楽しくないもん』
感情のこもってない声で言われて、ムッとした。そもそもAはいつも俺と目を合わせようとしない。どこか遠くを見据えてるような目をして、いつもぼーっとしてる。
『俺を見ろ！』叫んで地団駄を踏んだ。そしたらAは初めて、ガラス玉みたいに綺麗な目を向けてくれた。
『玲王こそ、おもしろくもないのにどうして笑ってるの？』
『……は？』
『なんかいつも、目だけ笑ってない。怖いよ』
『おまえ、何言って……』
『無理して へらへら笑うの、疲れない？』
こてん、と首を傾げて無垢な瞳で俺を見つめてくる。子供ながらに当時の俺は衝撃を受けた。そんな風に見られてたなんて知らなかったから。そもそも眼中だと思ってた。
そのAが、親や周りの親しい人間が誰一人として気づかなかった俺の『心』に触れた。
『Aには、俺がどう見えてるの』
『んー……退屈な、人？』
『退屈？』
『いっつもつまんなさそうな顔してる。同級生といる時とか、親といる時とか。なんか分かんないけど つまんなさそうなの』
人差し指を口元にあてて、うーんと唸るAは いつもの寡黙が嘘のように喋った。期待されて育った、愛されて生きてきた。与えられるだけの人生に飽き飽きして、窮屈だった、と、気づけばらしくない話をしていた。
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はもに(プロフ) - かっぱさん» かっぱさん、はじめまして！励みのコメントありがとうございます。一番なんてお言葉頂けて感無量です、、❕これからもご期待に添えられますよう頑張りますᵕ̈* (2023年2月20日 0時) (
レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
かっぱ - このお話本当に大好きで、一番気にいってます♡これからも応援してますね!! (2023年2月19日 21時) (レス) @page49 id: 3275caf583 (このIDを非表示/違反報告)
はもに(プロフ) - 七子さん» 七子ちゃん、感想投げてくれてありがとう❕ ちょっとドギマギの三角関係ではあるけれど、話の落とし所はちゃんと決めてるので見守ってもらえると嬉しいᵕ̈* いつも応援してくれて励みもらってます！これからもよろしくね❣️ (2023年2月17日 0時) (レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
七子(プロフ) - 潔が好き⁈⁈⁈そんなの…そんなのあんまりよ‼︎二次創作でレオと存分にイチャつかせてやるんだから（現実逃避） (2023年2月15日 21時) (レス) @page35 id: 749c6d74de (このIDを非表示/違反報告)
はもに(プロフ) - 凛香奈さん» 凛香奈さん、初めまして！繰り返し読んでいただけてるという事実に感極まってしまいました🥲ここ最近更新の時間帯が不定期ですが、引き続き頑張っていきたいと思います！応援ありがとうございます🙇♂️とても励みになりました！ (2023年2月13日 0時) (レス) id: ad43313898 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：はもに | 作成日時：2023年2月7日 18時
