獅子家の使用人 ページ4
「そういえば、火美さんってどうなったの?」
うちは月に聞いてみる。
「火美ねぇさんなら辞めただろ?
そうだったわね。
とは声に出さなかった。
うちは知っている月が真依お嬢様に雇われた殺し屋だって事を。
「ねぇ、月。」
うちの其の言葉で歩き出そうとしていた月は止まり、顔だけ此方に向けた。
「もし、もしやよ。水音さんも火美さんも貴方に殺されていたとしたら、二十年前に」
「な、何だよ急に」
「じゃあ、前に何てそんな曖昧な言い方言ったの?」
すると月の顔がひどく歪んでいく。
まぁ、月は二十年前7歳なのだ。
彼は7歳の時に16歳の女二人を殺害したとうちが云っているんだ。
傍から見たら、イカレテいるのはうちの方だろう。
「あなたが、真依お嬢様に雇われたときからうちは貴方を疑っていた。如何して7歳の男の子がって。真依お嬢様は自分よりも少しだけ年上のお方が好みで有った。なのに……」
すると、月は顔に影を落とし口角を上げた。
「ははっ! まさか俺の犯行が一番最初にばれるのがメイドさん何てな。」
やっぱり、手を打っておいて正解だった。
7歳の少年が殺しを行うとは大変な事が有ったんだ。
「あーぁ。二十年も務めていたのにな。なぁ、知ってるか? 今、街にはとある病が流行ってる。不治の病、ダアトっていうんだ。体の中からじわじわと腐っていく病気だよ」
「知っている。それで、この家のコック長がお亡くなりになられた」
「あぁ!良く分かってんじゃねぇか。俺の本当の能力は「家具破壊」じゃなく「腐食浸食」。ずっと、騙してたんだよ。じゃあ、俺の狙いも分かってんな」
うちが想像した中で一番最悪な物其れは……
「御館様に遺書を書かせ殺し、真依お嬢様にこの家の主を受け継がせ、そして、全部を受け取る心算でしょう」
予想通り、月が云った言葉は「まぁ、要約するとそうだな」だった。
「けれど、其れは無理よ」
うちにはそれが断言できた。
すると、月は私の肩に手を置き揺さぶる。
うちは、一瞬にして悟った。ダアトに感染したな。体も持って24時間か……
「は? どーしてだよ。どうして断言できんだよ」
月は動揺していた。
「27歳の頭が切れる殺し屋さんでも判らないのね」
すると、月はうちから手を放し少し考えた。
そして、見たものを恐怖に突き落としそうな形相で此方を見ていった。
「まさか……」
「其の真逆、当たってるわよ」
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作者名:暁 抹茶 | 作者ホームページ:
作成日時:2018年7月26日 20時