獅子家の召使 ページ2
「御館様。御館様。朝食のお時間ですよ」
小さな召使は、御館様の寝室をノックする。
60代になってから起床時間が随分と遅い。
「はぁ……」
召使はため息一つ漏らし、普通は逆じゃないのかと考える。
年を召してからは寝つきが悪くなると言われてるのに御館様は全くの逆なのだ。
一回死んでるのではないかと息をのみ心臓が止まりそうになったのを召使はつい最近に体験した。
あの時はつい、自分の能力の「家具破壊」でドアを破壊してしまったのだが、まぁ、案の定、御館様はぐっすりおやすみになって居た。
「あら、月如何したの?」
召使の後ろにいつの間にかメイドが立っている。其のメイドが召使に呼びかけた。
さきほど、朝食の時間を知らせに来たのは月という名前の召使らしい。
苗字は有るのだろうか。
「ねぇさん」
メイドは月の姉の様だった。
「
召使はもう一度其のメイドの事を呼ぶ。
「如何したの月」
「御館様がお目覚めにならなくて、お食事を如何しようと思ってさ。」
「そうね、勿体無いけれど廃棄かしら」
「そっか」
「そうね。勿体無いけどね。一応、私からも伝えておくわ」
「うん」
このとき彼らは知らなかった。
二十年後の今日、御館様は目覚め無くなる事を。
月は寝室から遠ざかり、水音は寝室の方に向かって行く。
そして水音は囁くように云った。
「御館様? 大丈夫ですか? 最近、流行り病が有りますのでご注意くださいね。あと、お食事はちゃんととってくださいね」
そう言ってから水音は自分の仕事に戻って行った。
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作者名:暁 抹茶 | 作者ホームページ:
作成日時:2018年7月26日 20時