#52 ページ5
No side
翔太と康二が帰ってくると家の外まで
パイの甘い香りがひろがっていた
それも鳥や兎などが家の近くまで来てたくらいだ
ru「みて、ちゃんと言われた通りにできたよ！」
テーブルには美味しそうな色のパイが並んでいた
康二はラウールに抱きつき佐久間は翔太に抱きつく
その様子を見守る照とふっか
まるで昔から一緒にいるような人達の空間がそこにはあった
kj「ほなご飯にしよか〜！」
康二の声にいつものようにテーブルを囲んで
笑い合いながら食事する
そして作ったパイを切り分けてお茶と一緒にいただく6人
sk「うまっ！」
iw「むっちゃ美味しい」
ru「アップルパイっていいね！甘酸っぱくて
なんかずっと食べていられる」
fk「分かる、もっと食べたい」
sh「これは俺の分だからやらねぇぞ」
kj「しょっぴー１人ずるいで！」
sh「絶対これはやらねぇ!!」
自分が食べている皿の他にもう1皿分のアップルパイ
食べるわけではなさそうで必死に
切り分けたアップルパイを守っていた
食べ終えた6人は各々自分の時間を過ごす
部屋でゆっくりしている者もいればリビングで話している者、
空を見上げている者もいれば寝ている者もいた
翔太は分けておいたアップルパイの皿を自室の机に置いて
ベランダに出る
星が煌めく空を静かに眺めていた
少し涼しい風が吹いてきて不思議と口ずさみはじめた
•*¨*•.¸¸♬•*¨*•.¸¸♪
柔らかな歌声に木々にとまっていた鳥たちもうっとりしている
この家に住む者以外誰もいない森の中では
翔太の透き通る歌声は響いていく
次第に家の周りに動物たちが集まり木の陰に隠れて
翔太のソロコンサートの観客となっていた
そんなことになっているなんて翔太は気づいていない
sh「涼太……」
そう呟いてコンサートは幕を閉じた
辺りは静寂に包まれ動物たちはそれぞれの家へと帰っていく
自室に持ってきたアップルパイも歌った歌も
全て彼の為……彼に会える日を望む翔太の心がそうさせたんだ
アップルパイの横に置かれたペンダントで笑っている
2人の少年の写真にのった雫に気づく者などいない
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作者名：Mai | 作成日時：2023年9月21日 18時
