パン いつつ目 ページ5
noside
左京にAが説教をされてから何日か経ったある日
珍しく朝から店を締め、仏壇の前で手を合わせるA
『お父さん、お母さん。ちょっとお見舞いに行ってきます!』
そして彼女は、店を出て電車に乗ったのだ
ーーー
数時間電車に揺られ、その後とある病院の中に入った彼女は受付に行きどこに子供用の入院室があるかを聞き、目的地へとエレベーターで向かった
コンコン
ドアをノックすると
「はーい!」
元気な少年の声が聞こえた
ドアを開けながら彼女がひょこっと顔を出す
『陸にぃ!こんにちは!』
「A!?どうしてここに!?」
彼女の見舞い相手である従兄弟の七瀬陸はかなり驚いていた
二年前の葬式で会って以来1回しか顔を見てなかったからだ
『陸にぃが入院したって聞いてびっくりしたよあ、はい。これうちのパンとこんど店で出そうと思ってるゼリー!冷蔵庫に入れておくよ。』
彼女は彼の質問を無理やりかわし、自分の見舞い品を彼に勧めた
「あ、ありがとう…」
彼はその勢いに飲まれ自分の質問を飲み込んだ
何故か彼には彼女が無理をしているように見えたのだ
『…陸にぃ?』
黙ったまま彼女を見つめていたためか、彼女は心配そうに彼の顔を覗き込んだ
「ねぇ、A…」
『んー?』
彼はそこで言葉を止め、今まで何をどこでしていたのか聞こうと思ったが、それが出来なかった
なぜだか分からないが、そこで言葉を止めなければいけないような…そんな気がしたのだ
「いや…なんか久々にAの顔を見たような気がしたから…」
しょぼんとする彼に彼女は『あー』と言った
『ごめんね…ちっょと店が忙しくてさ。陸にぃに顔を出そうと思ったらお世話になってる人から頼み事されたりしててさ』
気まずそうに顔を逸らす彼女
「…そっか…でも元気そうで何よりだよ」
にっこりと彼は柔らかな笑顔を見せ彼女の頭を撫でた
そんな彼の顔を見て彼女は頬をほんのり赤くさせた
『陸にぃは…かっこよかったのがなおさらかっこよくなったね…』
〜陸とお見舞い〜
(陸にぃ美味しい?)
(うん!Aの作った料理って美味しんだね!)
(あ、ありがとう…/////)
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1.9 - やばい…。とっても面白いです!これからも頑張って下さい!応援してます! (2019年4月21日 19時) (レス) id: 47aa25969b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にこん | 作成日時:2017年4月26日 21時