パン屋『四季』での日常 (ページ12)

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パンとおあまりひとつ目ページ12

noside

夏も終わりごろになりだんだんと寒くなって秋が深まってきた頃

ついこの前まで、アメリカから帰宅したばかりでドタバタしていたがやっと落ち着いて店を開けられるようになり、念願だった和菓子の販売を開始し始めた。

販売し始めて何週間かたった

平日の昼間だからだろうか店はA以外誰もいなかった

(今日の松川さんの夕飯どうしようかな…あ、今日って京にぃ来るんだっけ…)

そんなことを考えながらカウンターの掃除をしていた

カランカラン！

店のドアが開いた

『いらっしゃいませ！』

入ってきたのは紺色の長髪で、スーツを着た男性だった

彼は和菓子のショウケースの前で止まり、何やら考え出した

「…十個入りで1000円…なら5個入りの方が安く済むか？いや…相手方に悪いよな…」

どうやら彼は誰かに和菓子を渡すつもりらしい

『あ、あの…お客様…十個入り５００円でいいですよ』

「え」

『お急ぎなんでしょう？…お師匠さんがこの値段で決めたんですけど私はもっと安くしたかったんです…だからお客様には安くお売りします！』

笑顔でとんでもないことを言い出すA

そんな彼女を暫く彼はぽかんと見ていたが…

「…じゃあ…また今度来るのでその時にもう半分を払うっていうのはどうですか？」

そう提案したのだ

『え、ですが…「はい、お金です！」ふぁ！？』

断ろうとする彼女に彼はお金を無理やりわたし商品を受け取った

「あ、俺は小鳥遊プロダクションで働いている大神万理です！またお金とお礼に社長を連れて来ます！では！」

自己紹介を店を出る前にして重要なことをさらっと言った彼は去っていった

『え、えええええ！？』

〜万里さんと和菓子のお金〜

(邪魔するぞ)
(きょ、きょ、京にぃ！社長さんが来るって！)
(は？)

(あの子よく人を見てたな…和菓子も好評だったし。)
(面白そうな子だね。挨拶に行くのが楽しみだよ)
(はい！)