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その湊はずっと愁に釘付けだ。




皆中をきめ、颯爽と射場をあとにする愁。




静「相変わらずだね、愁は。」


遼「ツイてないよ、海斗。あんなのと一緒の組なんて。」




湊(愁...相変わらずなんかじゃない。前よりもっと...)




Aは湊を見る。
きっと彼は今、自分の中で葛藤していることだろう。




静「湊?」


遼「次、七緒だぞ?」


湊「ちょっとその...トイレ。」




急に立ち上がり、その場を逃げるように走って去っていく湊。




遼「湊...。」




遼平が湊の走って行った方を心配そうに見る。




『今は一人にしてあげましょ。静弥、遼平、明日の団体戦楽しみにしてる。』




そういうとAは二人に手を振りながら、桐先の元へと帰って行った。






『愁、お疲れ様。』




男女共に個人戦予選が終わり、Aと愁が予選の一位となった。



愁「おつかれ。そうだA、一回戦目湊たちと何を話してたんだい?」




愁は自分が引いているときに、Aが湊たちと観客席で話していたのを思い出し尋ねる。




『愁の射に心を奪われてたから、現実世界に引き戻してあげてたの。愁は何人の心を奪えば満足なの?』




Aは男子個人戦の予選一回戦を思い出す。




愁と同じ組になった人たちは、彼の前にいようが背中側にいようが関係ない。
一度意識をすると、すぐに引き摺り込まれるのだ。




だがそんな彼女の言葉に愁は少しムッとしていた。




愁「俺は他の人に興味はないよ。それとAは静弥たちと仲良くしすぎだよ。君は桐先、俺の隣にいればいい。」




そしてAの手を取り離さないというように絡めとる。




『そうね。明日の団体戦も頑張りましょ。』




Aはそんな愁にクスッと笑いながら、明日の団体戦へむけ頭を切り替えた。




A(明日は明日の風が吹く。)






大会一日目の帰り道。
愁に家に送ってもらったあと、Aは屋敷の弓道場にいた。




『お祖父様、私は弓を引く意味を見失いそうで怖いです。』




弓を始めるきっかけである祖父のツルネ。
そのツルネはもう二度と聞けない。




ちょうど湊のツルネが消えた頃、同じくAの祖父が病に倒れたのだ。




存命ではあるものの、もうあの頃のような元気な祖父を見ることはできない。




『ツルネに憧れたあの頃の少女は、もう私のもとに帰ってこないのでしょうか。』




Aは祖父の弓に問いかけるが、その弓から答えが返ってくることはなかった。

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設定タグ:ツルネ , 藤原愁 , 鳴宮湊   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:希子 | 作成日時:2023年2月1日 13時

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