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愁「本村先輩、二人は彼らが俺の知り合いなのに気づいて、挨拶してくれたようです。」
愁は双子の横に並ぶと、本村に説明をしはじめた。
宏「知り合い?」
愁「中等部時代の同期ですよ。先輩もご記憶ありませんか?」
宏「中等部の...。」
本村が中学時代を思い出している間、愁はAを連れて歩き出し、湊を背にした静弥の前で止まる。
愁「久しぶりだね、静弥、湊。」
湊「愁、A...。」
湊が愁を前に尻込みしていると、静弥が代わりに挨拶をした。
静「久しぶり、愁、A。」
『久しぶりだね、湊、静弥。』
愁「相変わらず、静弥は湊の騎士を務めているのかい?湊だけじゃなく、君まで別の高校を選んだ時は驚いたよ。」
湊を隠すように立つ静弥を見て、愁は笑みを浮かべたまま話を続ける。
静「相変わらずは愁のほうだろ。こないだも二十射皆中をきめたって聞いたよ。"貴公子"の名は健在だね。」
愁「そんな俗称に興味ないな。」
相変わらずな愁に静弥は口だけで笑いながら、愁の隣にいたAに視線を向け声をかけた。
静「やぁA、この前は楽しかったよ。」
静弥の意味深な発言に、隣にいる愁の視線がAに向けられる。
愁「この前?A、静弥と会ったのかい?」
『うん。散歩してたらたまたま会ったの。すぐ別れたけど。』
Aはその場の目が自分に集まるのを避けるため、そっけなく返事をした。
愁はそんな彼女を見た後、湊に目を向け直す。
愁「湊は今日の個人戦には出るのかい?」
湊「明日の団体戦だけだ。」
湊は首を横に振りながら答える。
愁「じゃあ戦えるのは明日か。残念だが楽しみだ。」
愁が顔に笑みを浮かべながら会話をしていると、後ろにいた海斗が怒鳴りながら愁に宣戦布告をしてきた。
海「俺は出るぜ!」
万「え?それがどうしたのさ。」
千「まさかのまさかだけど、愁に張り合おうとか?ポッと出の弱小弓道部が、県トップの桐先高校エース藤原愁に?」
万「うわっ、カッケェ。」
海「てめえら!」
七「だめだよ、かっちゃん!」
千一と万次は海斗にこれでもかと茶化し、火に油を注いでいく。
そんな双子を本村と佐瀬が、海斗を七緒が沈め、佐瀬が双子を別の場所へ連れて行ったことで一旦休戦となった。
双子を連れていく佐瀬を筆頭に桐先弓道部が去っていくのを見る風舞弓道部の男子たち、だがそこにはまだ愁とAがいた。
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作者名:希子 | 作成日時:2023年2月1日 13時