Episode 1 ページ4
「んん…」
小さな呻き声が漏れる。
ゆっくり、うっすらと目を開けた。
目の前には壁。左右には道が伸びており、光が差し込んでいる。
どこかの路地裏にいるようだ。
「いたったた…あだだ…」
変な姿勢で座って寝ていたからだろうか。
酷く痛む重い腰を手で抑えながら持ち上げる。
ポキ、と骨の鳴る音がした。
__あれ?
私、何でこんなところにいるんだろう。
ふと、空を見上げ、ここ数時間に起こった出来事を思い出す。
私は確かに市立図書館にいたハズだ。
そこで一冊のノートを見つけ、完読後、謎の声が聞こえ…
「……え?」
その後の記憶が全くない。
そして、同時に気がつく。
_“きっと、貴方ならばそう言ってくれると思ったよ”
「救いたい」という願いが叶った…?
何が何だか分からない。
ここはいったいどこなのだろう。
とにかく、情報が少なすぎる。
取り敢えず、右の光へ走り出した。
「ど、どこなのここ…」
見たことのない街並み。
明らかに日本人ではない人達で溢れかえった道。
ほのかにするスパイシーな香り。
この香りは、カレー…?
「え、インド?」
真っ先にその単語が脳に浮かんだ。
「あ、あそこに日本人らしき人がいますよ、ジョースターさん!」
「おぉ、本当じゃ。何か知ってるかもしれん」
クセの強い髪が四方にうねり、前髪が奇抜な形をした高校生が指を指す。
その先を、六十は超えているであろう老人がみやる。
しかし、老人というにはガタイのいい筋肉質な体。見た目や実年齢ほど老いてはいない。
「…おかしいな。一人でいるように見えないか、花京院」
「本当だ…近くに親らしき人は見当たらないな…」
花京院、と呼ばれた男は、指を指していた手を下げ、自らの名を呼んだ男に向き直る。
花京院典明。それが彼の名だった。
パーツが綺麗に並べられた顔を後ろの男に向け、共感の声をあげる。
「なぁじじい。ちょっと話を聞いてきて貰えないか」
「はぁ…全く祖父にじじいなどと…」
「まぁまぁジョースターさん」
先程、花京院に「ジョースターさん」と呼ばれた老人は、ため息をついた。ジョセフ・ジョースター。彼のことをみなジョースターさん、と呼ぶ。
実際、そう呼んだ黒人の男性はエジプト人のモハメド・アヴドゥル。いくつも髪を短く編んだ髪型が特徴的である。
そして、祖父であるジョースターに「じじい」と呼んでいる彼こそが、空条承太郎であった。
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東雲(プロフ) - 海守青空別垢さん» 応援ありがとうございます!頑張ります(*^^*) (2018年9月15日 0時) (レス) id: cea307c8ed (このIDを非表示/違反報告)
海守青空別垢 - 頑張ってください!(^^) (2018年9月14日 21時) (レス) id: b3f5a03222 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - 海守青空別垢さん» わあああい!!ありがとうございます!嬉しいお言葉頂きました!これからも何卒宜しく御願い致します(´ー`*) (2018年9月3日 14時) (レス) id: cea307c8ed (このIDを非表示/違反報告)
海守青空別垢 - この作品大好きです!僕もこんな神作書いてみたい(´・_・`) (2018年9月3日 10時) (レス) id: b3f5a03222 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - もちこさん» コメントありがとうございます!そんな勿体ないお言葉を……!ありがとうございます、励みになります( ^P^) (2018年8月27日 22時) (レス) id: cea307c8ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:東雲 | 作成日時:2018年2月6日 19時