【ジョジョ3部】誰も失わぬ運命へ＿ First【花京院典明】

Episode 15 ページ18

子鳥のさえずりが、Aの目を覚ます。
目を擦りながら上半身を起こし、壁時計をみる。時刻は朝の七時。いい時間に目が覚めたなぁ、と思いながら背伸びをする。

夢を見たことすらすっかり忘れているAにとって、今朝の快晴は清々しいものだった。




今日も、様々な敵が襲いかかってきた。
あのネーナさえも、実はエンプレスの暗示を持つスタンドの使い手だった。
ネーナのせいで指名手配犯となってしまったジョースターを乗せ、車はカラチに向けて出発する。

その途中に後から煽ってきた車、途中に寄った霧の町、宿泊先のホテルの支配人…
これら全てが、敵とそのスタンドによる攻撃だった。

霧の町で、ホル・ホースと出会った。
今度は敵として出なく、ホテルの支配人として登場したDIOの手下、エンヤという老人に襲われる被害者として。

激闘の末、エンヤ婆は承太郎によって再起不能(リ タ イ ア)となった。
霧が晴れた町の光景に、一同は絶句した。
町だったハズの場所は、大きな墓地だったのだ。死体を霧で操り、町に仕立て上げていたエンヤ婆の非常さに、Aは驚愕した。

エンヤ婆を車に乗せた時、｢休む暇も与えねぇつもりだな…｣とため息をついたポルナレフに、全員が無言で頷く。

結果、ホル・ホースに車は奪われるし、車調達するのに時間はかかるし、連続して敵から攻撃を受けるしで、一同はへろへろだった。


カラチに着いてもなお敵の攻撃は止まない。
ケバブ屋の店主、スティーリー・ダンは、自身のスタンドでエンヤ婆を殺し、ジョセフまでもを殺そうと目論む。
ダンを攻撃することは、ダンのスタンドが脳に入り込んでしまったジョセフを攻撃することと同じ。直接スタンドを攻撃するしか策はない。聡明な花京院は、すぐに打開策を思いつき、ジョースターとポルナレフ、Aを連れて走り出した。

結局、花京院とポルナレフの連携コンビの果て、ダンは承太郎の史上最長ラッシュを喰らい、見るも無残な姿で再起不能(リ タ イ ア)となった。


ここまで計二日。
考えられないスピードで襲いかかってくる敵。

でも自分はみんなに比べて楽な方だ、とAは思う。

私が仲間になったのはつい三日程前。
しかし、旅が始まったのはずっと前。
今自分が感じている苦労以上のものと、大切なものを背負い旅をしている。

一番弱音を吐いてはいけないのは自分だ＿＿



不屈の精神、揺るがぬ決意。
それが、Aのこれからの人生を大きく左右させる。

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