Episode 12 ページ15
「そうか。てっきり中学生程だと思っていたよ」
「私はてっきり大学生程だと思ってましたよ」
はは、と笑う彼。少し下に見られていたのはムカッと来たので、Aも嫌味ったらしく言い返す。
夕焼けに染まる景色を眺めながら交わした雑談。
最初こそぎこちなかったものの、段々と打ち解けていき、夕日が沈む頃には心から笑い合える仲になっていた。
部屋に響き渡る笑い声。外の騒がしかった声はすっかり消え、少し寂しさが残る夜。いつの間にか日は完全に落ち、辺りは静寂につつまれていた。
「もうこんな時間なんですねー…」
Aがふと外を見る。星が輝く綺麗な夜空に、いつの間にか見とれていた。
「あぁ、本当だ。七時半か…そろそろ夕飯を食べに行く時間だな」
部屋の壁にかかる時計を見て、花京院は呟く。この部屋に来て、もう二時間以上経過していた。
その時、部屋の扉を叩く音がする。
まるで花京院の言葉を待っていたかのようなタイミングに、ジョースター達が夕飯の時間を知らせに来たのだ。
扉を開けに立ち上がる花京院を、Aもちょこちょこと追った。
「で、結局その女の子も連れていくのかよ、花京院」
自室への帰り道。
ホテル内で夕食を済ませたA達は、ジョースターの「安全のために皆で行動するんじゃ」という指示に従い、五人で共に部屋へ向かっていた。
その途中、一番後ろを歩いていた承太郎は、目の前を歩く花京院の肩を叩き、少しスピードを落とすように合図する。
前を歩く他の三人は、なにやら別の話題で盛り上がっているので後方で二人がヒソヒソと話しているのに気づいていなかった。
「先程ジョースターさんと話をして、取り敢えず連れていくことにしたよ。まぁ、例え今は味方だと認識していても、スタンドが見える以上、敵に転がる可能性もあるんだけどな」
横で歩く承太郎に苦笑いを見せる。承太郎は「そうだよな」とだけ呟くと、帽子を深めにかぶり直し、花京院と同じ歩幅で歩き続けた。
実は、承太郎も同じ意見だった。
夕食の時、少しだけ聞いた奇妙な話が頭をよぎる。
“その事柄の直前になると、日記の内容をその部分だけ思い出す”
J・ガイル戦の時に初めて体験した、とAは語った。
もしも本当に記憶が直前で蘇っているのならば、この先の旅に是非とも同行して貰いたい。
しかし、やはり彼女を完全に信用するのは難しい。
冷静な判断力に富んだ承太郎でさえ、自分の心の中で相当考え込んでいた。
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東雲(プロフ) - 海守青空別垢さん» 応援ありがとうございます!頑張ります(*^^*) (2018年9月15日 0時) (レス) id: cea307c8ed (このIDを非表示/違反報告)
海守青空別垢 - 頑張ってください!(^^) (2018年9月14日 21時) (レス) id: b3f5a03222 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - 海守青空別垢さん» わあああい!!ありがとうございます!嬉しいお言葉頂きました!これからも何卒宜しく御願い致します(´ー`*) (2018年9月3日 14時) (レス) id: cea307c8ed (このIDを非表示/違反報告)
海守青空別垢 - この作品大好きです!僕もこんな神作書いてみたい(´・_・`) (2018年9月3日 10時) (レス) id: b3f5a03222 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - もちこさん» コメントありがとうございます!そんな勿体ないお言葉を……!ありがとうございます、励みになります( ^P^) (2018年8月27日 22時) (レス) id: cea307c8ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:東雲 | 作成日時:2018年2月6日 19時