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Episode 11 ページ14

「嫌ってなんかないですよ!」

何故か申し訳ないという気持ちと、彼を悲しませたという自責の念が押し寄せ、Aはバッと振り返り、顔の前で手を振って花京院の言葉を否定する。
勿論本心であるが、少なからず怒っていたのも事実。

「本当か…?」
「はいっ」

元気よく声を上げ、笑顔で答える。
花京院も毒気を抜かれたのか、ふにゃっとした笑顔を浮かべた。

「そういえば、君はどうしてここにいるんだ?」

花京院が、ハッと思い出し、質問に移る。

「あ、えっと…それがですね…」

Aは、自分の体験を全て話した。
市立図書館にいたこと。謎の日記を読んだ直後、意識が飛んだこと。気がついたらインドの路地裏にいたこと。日記に関する記憶が全て消えていること。J・ガイルの戦闘中、一文だけ日記の内容を思い出したこと。
とある事柄の直前に、日記に記された一文を思い出す、ということを。

この中の誰かが、人数も名前も明確に覚えていないが、死んでしまうということは、まだ時期尚早だということで伝えなかった。



「ふむ…おかしなはなしだな…」

花京院は顎に手を当て、呟く。
本当におかしい話なのだ。

荒唐無稽な話だ、思われたとしても、Aは仕方がないと割り切るつもりだった。正直、信じてくれると思っていなかったので、半ば諦めながら話していた。

しかし、彼はAの話を一蹴したり、小馬鹿にしたりせず、寧ろ一緒に考えてくれているのだ。

「今の話を聞く限り、スタンドが見える理由は分からなかったが…日記の内容を直前であろうと思い出せるのなら、心強いかもしれない」

Aに話しかけているのか、それとも独り言なのか。そんな曖昧な声量で自分の考えを口にすると、花京院はAの顔を見つめる。

「そういえば、君の名前以外は何も知らないんだった。いくつなんだい?」

突然の質問。先程のシリアスな雰囲気は一瞬にして破壊される。
花京院は首を傾げて、Aの返答を待った。

「え、えっと…十六歳の高校二年生…です」
「ということは、今年で十七…え、僕と同い年ってこと?」

最初は普通に話していた花京院も、最後の方は半ば半信半疑の様子。少し驚いたような表情を浮かべ、Aを凝視する。

意外!それは同級生ッ!
Aの心情も同じだった。

いやどうみたってせんぱいじゃないですかやだー。じょうだんよしてくださいよーかきょーいんせんぱーい。

お互いの年齢詐称を疑い合う二人の姿は、実に滑稽だった。

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東雲(プロフ) - 海守青空別垢さん» 応援ありがとうございます!頑張ります(*^^*) (2018年9月15日 0時) (レス) id: cea307c8ed (このIDを非表示/違反報告)
海守青空別垢 - 頑張ってください!(^^) (2018年9月14日 21時) (レス) id: b3f5a03222 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - 海守青空別垢さん» わあああい!!ありがとうございます!嬉しいお言葉頂きました!これからも何卒宜しく御願い致します(´ー`*) (2018年9月3日 14時) (レス) id: cea307c8ed (このIDを非表示/違反報告)
海守青空別垢 - この作品大好きです!僕もこんな神作書いてみたい(´・_・`) (2018年9月3日 10時) (レス) id: b3f5a03222 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - もちこさん» コメントありがとうございます!そんな勿体ないお言葉を……!ありがとうございます、励みになります( ^P^) (2018年8月27日 22時) (レス) id: cea307c8ed (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:東雲 | 作成日時:2018年2月6日 19時

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