Episode 10 ページ13
五分くらい経過した頃。
コンコンという扉を叩く小気味よい音が聞こえてくる。程なくして扉が開き、花京院が入ってきた。
｢いきなり連れてきた挙句、待たせてしまってすまないな｣
｢大丈夫ですよー｣
先程の敵意の滲んだ声ではなく、今度は紳士的で優しい花京院の声が聞こえた。
しかし、Aは後ろを振り向くこともなく、窓の外を眺めながら適当に返事をする。不貞腐れたその声に、花京院は顔を
｢怒ってるのか？｣
｢怒ってませんよ。疲れただけです｣
｢言い方的に僕のせいみたいじゃないか｣
｢六割そうです｣
出窓に頬をつけ、猫背を極めるA。そのつんとした態度に、花京院は思わずため息をつく。
花京院はAの隣に並ぶ椅子に腰掛けると、隣に座る彼女と同じように窓越しの夕焼けを眺めた。
｢今、君の分の料金を払ってきた｣
｢…え？料金？｣
突然飛び出てきた単語に、思わず花京院の方を向いてしまう。しかし、花京院はAに一瞥もくれず、外を眺めながら言葉を続けた。
｢宿泊料金だよ。ジョースターさんに頼んで払ってもらったんだ。最初は少し話をして終わろうと思ってたんだが、君を見る限り親や友人が周りにいないみたいだから危険だと思ったんだ。それに、もし本当に敵だとしたら、今夜中に僕たちの宿泊先を仲間に伝える可能性もあるからな｣
淡々と話を進める花京院。確かに親や友人はいない。独りぼっちだった。
しかし、やはり彼は私を心の底から疑ってやがる。Aの心はどんどんとささくれていった。
｢あのですね…確かに周りに友人や親はいませんし、泊めてくれるのはものすごーく感謝してますけど…何度も言いますが敵じゃないんですよ？｣
一向にこちらを向かない花京院をじぃーっと見つめ、目と言葉で訴える。すると、視線攻撃が効果をあげたのか、花京院はこの部屋に来て初めてAと目を合わせた。
｢僕も早く君の容疑を晴らしたいよ。これでも疑うのはあまり好きじゃないのでね｣
怒ったり反論したりするのかと思いきや、柔らかく微笑む彼。思いも寄らなかった彼の笑顔に、Aの鼓動が一瞬速まった。
｢そ、それなら早く私への警戒をやめてください！｣
彼の行動に、思わず目を逸らしてしまう。すると花京院は彼女の頭に手を置き、優しく撫でた。
｢そんなに嫌わないで欲しいな…僕だって少しやりすぎたと反省してるんだよ｣
俯き、弱々しくそう言った。
予想だにしない言動に、また驚かされた。
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東雲(プロフ) - 海守青空別垢さん» 応援ありがとうございます！頑張ります(*^^*) (2018年9月15日 0時) (
レス) id: cea307c8ed (このIDを非表示/違反報告)
海守青空別垢 - 頑張ってください！(^^) (2018年9月14日 21時) (レス) id: b3f5a03222 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - 海守青空別垢さん» わあああい！！ありがとうございます！嬉しいお言葉頂きました！これからも何卒宜しく御願い致します(´ー`＊) (2018年9月3日 14時) (レス) id: cea307c8ed (このIDを非表示/違反報告)
海守青空別垢 - この作品大好きです！僕もこんな神作書いてみたい(´･_･`) (2018年9月3日 10時) (レス) id: b3f5a03222 (このIDを非表示/違反報告)
東雲(プロフ) - もちこさん» コメントありがとうございます！そんな勿体ないお言葉を……！ありがとうございます、励みになります( ＾P＾) (2018年8月27日 22時) (レス) id: cea307c8ed (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：東雲 | 作成日時：2018年2月6日 19時
