テレビ電話（2） ページ25
｢りょーへーくーん｣
緑｢なに？笑｣
｢ねぇー｣
緑｢どぉしたの？笑｣
｢会いたいー｣
前言撤回。
余裕なんてどこにもない。
いつもは出さない子どものような声で、しっかり者のAから考えられないくらい甘えた言い方で、普段は言わない素直な事をストレートにぶつけられる。
緑｢珍しい｣
｢お互い家にいるのに会えないなんて辛いもん｣
可愛い顔でそうねだるのは、無自覚なのか。はたまた計算なのか。
恋愛経験が乏しい俺には皆目検討もつかない。
だけど、それでも強くみせたいと言ったら、君は笑うんだろうな。
緑｢このご時世だからね、仕方ないよ｣
｢ほんと、嫌味なほど大人だね。嫌いじゃないけど。｣
精一杯の強がりの返事も、妖艶な笑顔とその言葉によってことごとくノックアウト。
緑｢なんか、ずるい｣
いつもAが言う言葉をそっくりそのまま返してみる。
｢え、なにが？｣
だけど、気づかないんだもんな、うちの彼女は。
何でもないよ、と言えば嘘でしょと画面の向こうで爆笑。
コロコロと表情を変える彼女に今日もまた見惚れる。
気づけば時刻はとっくに12時を回っていて、お互いに睡魔が迎えにくる時間。
緑｢そろそろ寝ようか｣
目をこすりながら必死で起きようとするAに声をかける。
｢うん｣
だけど、返ってきた返事はあまり元気のいいものではない。
緑｢どうした？｣
｢…寂しい｣
眠たそうなトロンとした目でこちらを見ながら、寂しいなんて…
緑｢どこでそんなこと覚えたの？｣
触れられない距離。
いつものように会えないわけではない。
会えるのに、会えないこの時間が、距離が、とても切ない。
｢またしようね。亮平くんの顔見るだけで元気になれるから｣
緑｢うん、俺もだよ｣
｢おやすみなさい｣
緑｢おやすみ｣
長い付き合いなのに、まだドキドキするのには慣れなくて。
何回も顔を合わせてるのに、その度に見惚れてしまって。
いつまでも初々しいこの関係が、なんだか気に入ってしまっている。
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廉樹(プロフ) - Sayukiさん» 貴重な意見ありがとうございます！続編の方で書かせてもらいます！ (2020年6月14日 10時) (
レス) id: 64321f42bc (このIDを非表示/違反報告)
Sayuki(プロフ) - いつかできたらでいいので裏も入れて欲しいです (2020年6月10日 1時) (レス) id: a707041684 (このIDを非表示/違反報告)
ゆきの - 阿部担ですが、阿部ちゃんが阿部ちゃん過ぎて、そしてとてもお似合いで、こんな彼女ならいてもいいなって思っちゃいました(笑 元気貰ってます。これからも更新楽しみにしてますね。 (2020年4月17日 18時) (レス) id: 76e9874d53 (このIDを非表示/違反報告)
廉樹(プロフ) - 佐々木さん» 嬉しいです！ぜひお願いします！ (2020年4月15日 11時) (レス) id: 64321f42bc (このIDを非表示/違反報告)
佐々木(プロフ) - 廉樹さん» 私は今Twitterでおすすめの作品を紹介させていただいています。そこで「阿部と彼女」を紹介してもいいですか？ (2020年4月15日 8時) (レス) id: e312adaa83 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：廉樹
| 作成日時：2020年4月8日 11時
