検索窓
今日:34 hit、昨日:127 hit、合計:1,539,002 hit

クリスマス(2) ページ39

どれだけ時間が経ったのだろう。

終わった!!という声が俺の耳に届く。


シャーペンをバンっと机に置いて、ぐーっと伸びをする



緑「終わったの?」

「うん!亮平くんは?」

緑「俺はもうちょっとかかりそう」



そんな俺の言葉を聞きながらAは鞄に筆記用具と参考書をしまっていく。




「時間は有限だから、絶対に終わりがあるでしょ。終わりがあるから人って努力すると思うんだよね。仮に時間が増えてもその先でまた時間に追われて、時間が欲しくなる。なら、今この時間を精一杯努力して有意義なものにした方がこの先財産になると思わない?」



呟くように静かに話す。

思わず手が止まる。だけど、何も言えない。
Aの言葉がスっと胸の中に落ちていく。


求めていた言葉はこれだったのだろうか。

いや、たぶん違う。でも、なんだか心が晴れる。



「努力は必ず報われるとは思わない。けど、努力した時間は必ず報われると思う。その時間から学び、その時間を通して得たものは裏切らない。」



そう言って静かに席を立ち、Merry Christmas、良いお年を。と言って小さな手紙を渡して帰っていく。





デビュー前最後のクリスマス前夜。

実家の引き出しに入っていたその手紙を取り出してそっと開く。




亮平くん

クリスマスプレゼントは受験勉強で大変だからなしにしようねと言われましたが、勉強の合間に書いた手紙なら許してくれるかな?

何が正しい道かは誰にも分からない。だから、今の自分が正しいと思う道を懸命に真っ当すればいい。結果は後からついてくる。

この休止期間はきっと将来、よかったと思える時間になる。大丈夫。亮平くんは絶対トップになれる。デビューできる。

だってジャニーズが天職なんでしょ?そのために努力してるんでしょ?ずっと応援してます。





8年前のクリスマス前にSnowMan5人が出ている舞台を見に行き、自分は必要ない存在なんじゃないか、辞めた方がいいんじゃないか、とひどく落ち込んだ時があった。

それを言わずとも察してくれ、手紙という不器用な形で伝えてくれたその優しさをもう一度鮮明に思い出してみる。




もし今あの時のAに会ったら、ほら私の言った通りデビューできたでしょ、と少しドヤ顔で言いそうだ。

クリスマス(3)→←クリスマス(1)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (944 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
3296人がお気に入り
設定タグ:SnowMan , 阿部亮平
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

すりる - 美紀さん» そのユザネは本名?危ないと思うけど… (2023年4月7日 23時) (レス) @page37 id: 31ec9bccd0 (このIDを非表示/違反報告)
ヒナコ(プロフ) - はじめまして!阿部ちゃんの声がそのまま聞こえてきます〜主人公もリアルで感情移入できすぎます…これからも応援してます。 (2020年4月7日 2時) (レス) id: 2181ddfc07 (このIDを非表示/違反報告)
#阿部のあかねチャン。 - はじめまして~!!めちゃくちゃキュンキュンします!なんかそのまんま亮平くん!って感じで凄い好きです! 更新頑張って下さい!! (2020年3月28日 21時) (レス) id: e876265565 (このIDを非表示/違反報告)
mikky(プロフ) - 初めまして!お話一気読みさせていただきました^ ^お話のなかの阿部ちゃんがリアルすぎてキュンが止まらないです!またの更新待ってます^ ^ (2020年3月26日 3時) (レス) id: 27e731af2f (このIDを非表示/違反報告)
ojamashimasu3(プロフ) - はじめまして。お話読ませていただきました!日常感がたまりません。きゅんきゅんします。続きが楽しみです、応援しています。 (2020年3月20日 23時) (レス) id: e6f055e37f (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:廉樹 | 作成日時:2020年3月20日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。