阿部と彼女

写真（1） ページ34

Abe side




橙｢阿部ちゃん、見てみて〜｣

自前のカメラを手に康二が笑顔で駆け寄ってくる


緑｢どうしたの？｣

橙｢これ俺の彼女やねんけど、めっちゃ可愛ない？！｣



そう言って康二が見せてくれた写真は
モデルさんみたいにかっこよくキメてる写真でも
女優さんみたいに可愛くて微笑んでる写真でもなく

心を許してるから見える本気で笑ってるシーンを切り取った1枚。


それを可愛いと目を細めて眺めている康二の彼女さんは幸せなんだろうなと思う。こんなに愛されて。



緑｢確かに可愛い｣

橙｢あ、やらへんで！これは俺の彼女やねんから！｣

緑｢取らないよ笑｣


可愛いのは康二だよ、と言えば阿部ちゃんそっち系なん？！とびっくりされる。



緑｢康二の彼女さんは幸せ者だね｣

橙｢まぁ、俺と付き合えてるしね｣

緑｢自分で言ったらちょっとあれだけど、否定はできないわ笑｣



あぁ、会いたなってきたと机に倒れ込む康二。



橙｢あ、阿部ちゃんの彼女の写真ないん？｣

緑｢ないよ｣

橙｢なんでないん？彼女の可愛い姿撮りたいってならへんの？｣

緑｢なる…けど｣

橙｢ツーショットとか撮ったらええのに｣

緑｢彼女が厳しいんだよ。もしスマホ落として中見られたらどうするの？って｣

橙｢そんな事滅多にないわ笑｣

緑｢そう言ってるんだけど、俺結構忘れ物と無くし物が多いから説得力にかけちゃうんだよ笑｣



彼女の尻に敷かれてる阿部ちゃん想像つくわ〜なんて。


Aに言えば、本当の事でしょ？とド正論ぶちかましそうだ。



橙｢阿部ちゃんも今度撮ってきてや、彼女の写真｣

緑｢気が向いたらね｣

橙｢それ絶対向かへんやつやん笑｣



なんて笑い合った数日前の昼下がり。








今俺はAに向けてカメラを向けてしまっている。


カシャッと撮れた写真は言葉にならないほど美しい



｢ん？今写真撮った？｣

緑｢んーん、スクショ｣

｢そう｣


Aの写真を撮ったなんて言ったら絶対に消されるから咄嗟に嘘をつく

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