阿部と彼女3

翌朝 ページ19

Abe side


緑｢雨だねー｣

｢だねー｣

緑｢梅雨だねー｣

｢だねー｣

緑｢やる気出ないねー｣

｢出ないねー｣

緑｢やだねー｣

｢ねー｣



日曜日のAM9:30


ソファに座って窓の外からしきりに落ちてくる雨粒を見ながら、2人で謎の掛け合い



昨日の記憶はないけど、ふっかから
深澤：お前の彼女可愛いな！わら
ってきてたから多分運ばれてきたのだろう。



低気圧と二日酔いで頭は痛いが、そんな事より2人で居れるこの時間が幸せでならない。


自粛期間が明けて、週一のペースで会えるようになったAは昨日遅くまで俺を待ってくれていたのだろう。まだ少し眠たそう。

今日も仕事までに二日酔いが治るように、と一緒に早く起きてくれたのだから尚更



緑｢今日はお昼から仕事だ｣

｢大変だねー｣

緑｢Aは？｣

｢今日はお休み｣

緑｢ゆっくり休めるね｣



いつもは忙しく動き出している窓の外も、日曜日という事もあって心做しか静か


雨が地面に打ち付けられる音だけが浮いて聞こえて、幻想的にさえ思う



｢雨見てると眠たくなる｣

緑｢雨のせいではないでしょ｣

｢ん〜、まぁ〜｣


たぶんAの頭は今、全く働いてない

目を開けるのもやっとの状態で、その姿は可愛い以外の何物でもない



緑｢ふふっ笑
付き合ってくれてありがとうね。休みならもう1回寝ていいよ？｣

｢ん〜…｣


何を悩んでるかは分からないけど、限界が近いはずなのに、その場を離れようとしない。


｢昨日、深澤くんと岩本くんに会ったよ｣

緑｢ふっかから連絡きてた。迷惑かけてごめん。｣

｢んーん、ぜんぜん｣

緑｢どう？初めてメンバーに会って｣

｢ん〜…焦った｣

緑｢かっこよかった？｣

｢ん〜…｣


そう言いながら、俺の肩に身を預ける

柔らかい髪の毛が俺の首筋に当たる



｢かっこよかったけど、やっぱ亮平くんが1番だった｣



なんだその可愛い発言は。

そんな事言われると仕事に行きたくなくなってしまう。


緑｢そんな可愛い事言うとどうなっても知らないよ｣

｢可愛くないよ｣



俺の肩に置いてある頭を優しく撫でれば、いつの間にか寝息が聞こえる。



幸せそうなその寝顔はやっぱり可愛い



あまり彼女を抱きかかえるなんてしないけど、やっぱりベッドで寝てほしくてそっと持ち上げる


起こさないように慎重にベッドに下ろせば、ふにゃっとその寝顔が緩む



結局、迎えの時間になってもAは起きる気配がなく、仕方なく家を出る

次会えるのは1週間後

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