阿部と彼女3

どストライク（2） ページ16

しばらく雑誌を堪能していると、幸せな時間を遮るようにけたましく鳴り響くスマホ。



｢もしもし｣

緑｢え？なんでちょっと不機嫌なの笑｣

｢幸せな時間を邪魔された｣

緑｢え〜、なんかごめん笑
でも、最初に掛けてきたのはAだよ？｣



不憫になるほどの八つ当たり。少しだけ反省。



｢今日、雑誌買ったの｣

緑｢え、もしかしてanan？｣

｢ご名答｣

緑｢え？！まじ？｣

｢正直に言うね。亮平くん。どタイプです。｣



私がいつもは言わない事を言ったからなのか、返答はなし。


｢…ちょっとー、聞こえてる？｣

緑｢…聞こえてる…｣

｢も〜なに？｣

緑｢いや、なんか本当に嬉しい時って言葉って出ないんだね｣


嬉しい…って本当に嬉しそうに照れたように呟くから私の方まで照れる。



｢2冊は買うね｣

緑｢なんで？笑｣

｢これは永久保存版だから｣

緑｢今までそんな事なかったよね？笑｣

｢今までは…まぁ…ちょっと…笑｣

緑｢言いにくいみたいな空気出さないでよ！笑｣

｢今までもカッコイイのたくさんあったけど、ここまで私のどストライクの物ってあんまりなかったから。｣

緑｢照れるよ笑｣



本当に亮平くんはカッコイイよ。改めて雑誌に目を落としてそう呟くと、ありがとうと向こうも返してくれる。


｢この表情見たことない｣

緑｢そう？｣

｢今度やってよ｣

緑｢やだよ！恥ずかしい笑｣

｢え〜｣

緑｢そんな表情じゃなくても、Aしか知らない表情いっぱいあるから良いでしょ？｣



彼は本当にどこまでもどこまでもずるい。



｢やっぱ亮平くん嫌いだ！｣

緑｢え？！なんで？！｣



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