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Aside
『私ね………福良さんのこと、好きになっちゃった』
川「そっ……か…」
拓朗は気まずそうな顔をして俯く。あの話の後だしやっぱり応援はしてくれないかなぁと思っていると、何かを決心したかのようにガバッと顔を上げた。
川「それが姉さんの意思なら………応援する」
『…ありがとう。拓朗には苦労をかけてばかりだね』
川「ええんやって、好きでやってんやから」
拓朗は困ったように笑って私の頭をわしゃわしゃと撫でた。その姿が妙に大人っぽくて、本当に同い年なのか心配になるくらいだ。
『拓朗、拓朗も私ばっかりに構わなくて良いんだよ。拓朗は優しくてかっこいいから心配してないけど』
川「相手いないんやって」
『拓朗、いつも私を1番に考えてくれてありがとう。いつか私より大切にしたい子を見つけたら、いつでも紹介してね』
川「おう」
『……さてと、福良さんに謝らないといけないかな』
川「なんで?」
『何も覚えてなかったからさ、傷つけちゃったかも知れないし』
川「それは姉さんのせいじゃ……」
『いいの。私のせいじゃないなら拓朗のせいでもない。「言わなかった罪」と「聞かなかった罪」を半分こしよう?だって私たち双子じゃない?』
川「そう……やな。ありがとうな………」
少し背伸びをして涙目の拓朗の頭を撫でると気持ちよさそうに目を細められた。私は拓朗の笑った顔が好きだ。これからも、彼の笑顔を見れるように彼が抱えている重荷は持ってあげたい。
『さてと………』
LINEを開いて福良さんの名前をタップする。
A福良さん
A話したいことがあるんですがいつか時間作ってもらえませんか?
そうメッセージを送ると5分ほどで既読がつき、「わかった」「明日の夜でいい?」と来た。
『拓朗、明日の夜福良さんに会ってくる』
川「そっか、頑張ってな」
『うん』
きっと拓朗からしたら私と福良さんは関わってほしくないんだと思う。ずっと福良さんたちと私を遠ざけてきたんだから。
それでも最後にはこうやって私の応援をしてくれる。それがありがたくて尊くて、心地良い。
『ねえ拓朗、今日一緒に寝ない?』
川「姉さんのベッド狭いやん」
『拓朗のベッドセミダブルでしょ?』
川「はぁ……わかった」
『やったぁ!』
神様、多くは望みません。だからどうか、弟とだけはこれからも笑い続けていられますように。
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雪音(プロフ) - 緋歌梨さん» 返信遅れて申し訳ないです!そう言っていただけると嬉しいです……! (2021年1月25日 12時) (レス) id: e88b8137a8 (このIDを非表示/違反報告)
緋歌梨(プロフ) - コメント失礼します!前作からぶっ通しで読ませていただいたのですが、ずっと泣いていました!神作品をありがとうございます!! (2021年1月24日 2時) (レス) id: ef32365840 (このIDを非表示/違反報告)
雪音(プロフ) - ピーチフラペチーノさん» コメントありがとうございます!万人受けしない設定かなと思ったのですが気に入っていただけて嬉しいです! (2021年1月17日 23時) (レス) id: e88b8137a8 (このIDを非表示/違反報告)
ピーチフラペチーノ(プロフ) - 一気に読んでしまいました!ん〜読んでる途中でずっと感想を言い続けていました!いいお話でしたね!ありがとうございます! (2021年1月17日 21時) (レス) id: cb74bd79ea (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪音 | 作成日時:2021年1月17日 20時