6 ページ6
伊沢side
『山本くんのそれかっこいい！』
オフィスに響いたAの声にみんなの視線が集まる。そこにいたのは声の主Aと照れ臭そうに頬をかく山本。
伊「どしたのA」
『伊沢さん！これ、山本くんが誕生日プレゼントにもらったんですって！かっこいいですよね！』
Aが指さしたのは山本の手にあるカメラ。そういえば山本がインスタで写真をあげていた気がする。
山「えへへ、Aさん撮りますよ」
『ほんと！？やったぁ！拓朗、こっち来て！』
川「……ふくらさん、彼女が呼んでますよ」
ふ「いや呼ばれてないからね！？」
思わぬ飛び火にテンパったふくらさんを見て河村さんとケラケラ笑う。Aがふくらさんと川上をひっぱってきて、結局3人で撮るようだ。
『2人はかっこいいから問題ないけど私のことは可愛く撮ってね！』
山「はいはい」
苦笑いした山本がレンズを覗く。真ん中で2人と腕を組んで弾けんばかりの笑顔を向けるA。川上とふくらさんも呆れたように笑いながらピースを向ける。
山「これすぐ現像できるんですよ。Aさんにあげます」
『いいの！？ありがとう！』
カメラから現像された写真を山本から受け取りAはニコニコと上機嫌だ。手帳を取り出して大事そうに写真を挟み、山本の方へ走っていく。
『ありがとう！大事にする！』
山「えへへ、どういたしまして」
『じゃあ私はカメラ構えてる山本くん撮る！』
Aはそう言うと自分のスマホを取り出しカメラを構える山本をパシャリと撮る。
『インスタ上げていい？』
山「はい！」
しばらくするとAのインスタが更新され「山本くんが貰ったらしい誕プレ！かっこいい！」というコメントと共に先程撮られた写真があげられていた。
伊「よかったなぁ山本」
山「へ？あ、はい！」
一瞬きょとんとするもインスタの話だと理解したのかコクコクと頷く山本。
なあ、山本。
お前のAに向けるその目は、本当にただの憧れか？
幸か不幸か自覚はしていないんだろう。どうせ叶わない恋なら気づかない方が幸せなんだろうか。
伊「山本、俺はお前も応援してっからね」
山「？？はい……？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 44人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雪音 | 作成日時：2021年1月17日 19時
