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河村side
河「へえ、Aは随分器用なんだね。スカートを裾の方から切るなんて」
僕がそう言うと三上さんがピタッと止まる。多分今彼女の頭の中はどう返せば辻褄が合うか必死に考えているんだろう。
「で、でも不可能じゃないですよね？」
河「そうだね。でもさ、Aは右利きなんだよ。スカートを裾側から、しかも右下から左上に向かって切り裂くなんて、随分変な切り方したんだね？」
「な、なにが言いたいんですか！？私が嘘を吐いてるって言いたいんですか！？」
河「そうだよ」
ふ「ちょっと河村……！」
なんだふくら。お前はまだこいつを庇うのか。こんなにわかりやすく動揺してるのに。
河「……ふくら。お前にはほとほと愛想が尽きたぞ」
ふ「え……？」
河「世間にひらめき王子だなんだともてはやされてその目は節穴になったか？」
ふ「なんだよそれ！！」
河「お前なら気づけただろ！？このスカートの裾も！Aが弟の次に大事にしてるギターで人なんて殴らないってことも！！！」
ふ「っっ……」
河「……おかしい点はまだある。聞くか？一つひとつ丁寧に説明してやろうか？」
ここまで煽ればふくらは野菜を食わされた時のように顔を顰めた。ほら、お前だっておかしいって思ってたんだろ？
ふ「……和葉の叫び声を聞いて撮影部屋に行った時、和葉は部屋の奥にいた。逆にAは部屋の手前……ドアの近くにいた。和葉が本当に呼び出されて行ったんなら立ち位置は逆じゃないとおかしい……」
河「そうだね。それならむしろ三上さんがAのことを呼び出したって考える方が自然だ」
「でも！私昔からAさんに記事書くように言われてて……動画の編集だって……」
山「本当に、そうなんですか？」
河「！？山本……？」
ずっと静観を貫いていた山本が声を上げた。山本は後輩メンバーの中でも特にAに懐いていたから、何か知っているのかもしれない。
山「三上さん、Aさんが普段どれくらいの仕事してるか知ってます？」
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作者名：雪音 | 作成日時：2021年1月17日 19時
