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川上side
伊「いよいよ明日だな」
伊沢さんと河村さんに味方だと打ち明けられてから6日、いよいよ明日姉さんの無実を証言する。
河「追加で何個か証拠も見つけられたし、大丈夫だと思う」
川「2人とも……ありがとうございます」
俺たち姉弟を解雇して揉み消すことだってできたのに、2人は真摯に向き合ってくれた。その優しさがありがたかった。
伊「気にすんな。俺もAに戻ってきて欲しいしさ」
河「ヴィオの新曲聴けないのも辛いしなぁ」
へらっと笑って俺の背中に手を添える2人がとても大きく、頼もしく見えた。
ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ……… ﾌﾟﾙﾙﾙﾙ………
伊「ん？スマホ鳴ってね？」
川「あ、俺です。姉さんからか」
スマホの画面には姉さんの名前。通話ボタンを押すと楽しそうな声が聞こえてきた。
川「もしもし、姉さん？」
『あ、拓朗！ごめんね仕事中に』
川「いや、大丈夫。どうかした？」
『前さ、何でもできる気がするって言ったでしょ？見つけたよ、やりたいこと』
川「そっか。何したいん？」
『私ね、鳥になりたい』
川「は……？ね、姉さん、今どこにいるん？」
嫌な予感がする。なんで、室内にあるはずの姉さんのスマホから………風の音が聞こえる？
『今？マンションの屋上！』
川「っっ！？」
驚きと焦りで上手く息が吸えない。これから先起こることが容易に想像つく。なんとか、なんとか止めなければ。
川「姉さん、俺今からそっち行くから、待っとって」
『え？来てくれるの？わかった。待ってるね』
川「おう、できるだけ急いで行くから」
それだけ言って通話ボタンを切る。心配そうに俺の顔を見る2人に頭を下げた。
川「姉さんが、マンションの屋上から飛ぼうとしてる……」
河「は！？」
川「今から行って止めてきます。すみません、今日は帰ります」
伊「そうだな。なんかあったら連絡して」
川「はい」
なんとかしなければ。それだけ考えて自分の家まで走った。
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作者名：雪音 | 作成日時：2021年1月17日 19時
