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川上side
河「喜ぶのはまだ早いぞ川上。僕らはなんとかしてAの無実を晴らさないといけない」
そう言う河村さんの目は強い意志が込められていて、本気で姉さんのことを案じてくれているのがわかって嬉しくなる。
河「とりあえず、僕と伊沢で色々探ってみたから、情報を共有しよう」
河村さんはそう言うとスマホを取り出して写真を何枚か見せてくれた。姉さんが切り裂いたと言われるスカート、壊れたギター、他にも事件現場にあったという物が何枚か収められている。
伊「俺から出せるものって言ったらこれくらいしかないんだけどさ……やっぱり三上さんがAのゴーストやってたなんてありえない思うよ」
伊沢さんが取り出したのは紙媒体に印刷された2つの記事。片方は姉さんが書いたもの、もう片方は三上さんが書いたものらしい。
伊「文章の構成も言葉選びもまるで違う。三上さんには悪いけど、比べるのも烏滸がましいよ」
そりゃそうだ。姉さんは東大文学部の院生。国語に関してはスペシャリストだ。
河「まだ証拠が少ない気がしなくもないが……やろうと思えばひっくり返せるな」
川「………このスカートの写真、変ですよね」
伊「やっぱり川上もそう思う？俺らも変だなとは思ったんだけどどこが変なのかはっきりわかんなくて」
伊沢さんも写真を覗き込むように見る。変、というよりはありえないんだ。こんなこと。
川「これ、切り口が裾の方からになってるんですよ。普通対面してカッターを使うなら上から下にならなきゃおかしいのに」
河「………そうか。三上さんが自ら切ったから、下から上に切られてるのか」
伊「よく気付いた川上！これはデカいぞ……」
川「そもそも、姉さんがギターで人を殴るなんてありえません……」
河「ふふっ……前Aが言ってたよ。『このギターは弟の次に大切なものなんだ』って」
川「はっ！？///」
伊「たしかに考えにくいな。あの部屋にはギターよりも鈍器になりえるものは沢山あるし三上さんのことを嫌っていたなら尚更好きなギターで殴るなんて考えられない」
着々と証拠が集まりつつある。この調子なら割とすぐに姉さんを助けられるかもしれない。2人には感謝しっぱなしだ。久しぶりに明るい気分になっていると河村さんがぽつり、と呟いた。
河「………もし、三上さんを断罪しなければならなくなったら、それは僕にやらせてくれないか」
川「え……？」
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作者名：雪音 | 作成日時：2021年1月17日 19時
