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Aside
『ふくらさん、ふくらさんはどうやったら私のこと好きになります？』
ふ「しばらくは難しいかな、仕事のことで手一杯だから」
『じゃあどんな子がタイプですか？』
ふ「仕事中に無駄話持ちかけてこない子かな」
『う"っ……』
ふ「ほら、早く仕事戻って。今日多めに編集頼んじゃったから、ちゃっちゃとやらないと終わらないよ」
『……はぁい…』
ふくらさんにそう言われてしまいため息が出る。自分の机の上を見るといつもより数本多いUSB。ふくらさんのように要領の良くない私には気の遠くなるような量だ。
『ふくらさんからの愛が足りない……頑張れない……』
ふ「あげたことないのに欠乏するなんて厄介だね」
『厄介ですぅぅ』
私たちは一応恋人だ。でも手を繋いだこともなければ笑いかけられたこともない。一緒に帰ったこともない。
『「恋人の定義とは」って記事書こうかな』
ふ「書いても良いけど裏取れるの？」
『曖昧だから無理ですねぇ……』
駄目だ。完全に詰みだ。今日は何やってもうまくいかない……気がする。
ふ「はぁ………」
ふくらさんのため息が聞こえる。これ以上呆れられる前に自分の席に戻ろう、と思っていると頭の上に大きな手がぽん、と乗っかった。
ふ「ほら、頑張って」
『っ！！が、んばります！！』
ほんの一瞬だけど撫でられた頭が沸騰しそうなくらい熱くて、一気にやる気が出てきた。
『頑張ります！頑張りますよ！！』
ふ「はいはい」
呆れて笑っているふくらさんにつられて私も笑う。こんな日がずっと続けば良いな。いや、欲を言えばもうちょっとだけふくらさんが私に甘くなってくれたらもっと嬉しいけど。
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作者名：雪音 | 作成日時：2021年1月17日 19時
