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izw side
伊「川上………」
今まで生きていた二十数年のうち、あの日だけを切り取ってなかったことにできたなら。そうしたら、お前は俺の隣で笑い続けてくれてたんだろうか。
いや、違う。
あの日が悪いんじゃない。俺が悪いんだ。
もしも、もっと早く川上に想いを告げていたら?
もしも、あの日川上のそばを離れなければ?
もしも、俺にもっとアルファとしての力があって、川上の助けを求める声に気付けていたら?
そんな沢山の「もしも」が俺の中を渦巻いて、自分のしてしまったことの大きさに押しつぶされそうになる。
伊「ごめんなぁ……川上……ごめんな…っ……」
川「い……ざわ……さん……」
伊「っ!川上……」
うっすらと目を開けて俺を見る川上。そこにはもう怯えた様子はなくて、力なく伸びた手で俺の服の裾をちょこん、と掴んで小さな声で呟いた。
川「伊沢さん、俺との番契約…切ってもいいですよ」
伊「は…………?」
川「見たでしょ、さっきの………俺、まだ触れられるの、こわくて……っ俺が、弱いから…何年も前のこと思い出して、伊沢さんに、迷惑っ…かけるから」
震えた声で泣きながらそう話す姿に川上の言葉が本心でないことくらいすぐにわかった。
伊「………川上、今から言うのは俺のわがまま。それでも聞いてくれる?」
怖がらせないようにできるだけ優しくそう言うと、川上は悲しそうな顔をしてこくん、と頷いた。
伊「……あの日を消すことはできない。記憶としても、事実としても、俺らの中に一生残ると思う」
川「…………」
伊「お前が俺といることであの日を思い出して辛いなら、俺はお前の前から姿を消すよ。でも、お前が俺といることで少しでも幸せを感じてくれるなら、これからも隣に居させてほしい」
川「え………」
伊「お前の受けた痛みも、悲しみも、苦しみも、きっと1人で持つには重すぎるから。俺に半分持たせて」
川「………これからも、迷惑かけますよ。夜だって、期待に添えないかも……」
伊「ついこの間まで会いたくても会えなかったんだし、迷惑かけられるなんて贅沢な悩みだよ。夜の方だって、それ目的でお前と番になったわけじゃないし。お前が自然とそういうことしたいって思えるようになるまで待つからさ」
川「いざ……さんっっ……」
_____好き、大好き、伊沢さん
伊「!?」
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雪音(プロフ) - ゆーふぉ。さん» 恋人編も書きたいしsgi氏メインの話も書きたい(文才が追いつかない) 供給……待ってる…… (2020年11月27日 19時) (レス) id: e88b8137a8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーふぉ。(プロフ) - 雪音さん» 恋人編もありありのオオアリクイ。供給全力待機してまし…() 僕もお話書かねば…供給を返さないと…() (2020年11月27日 14時) (レス) id: e1ece1687e (このIDを非表示/違反報告)
雪音(プロフ) - ゆーふぉ。さん» これは設定が秒で思いついたのに形にできないまま数ヶ月放置してたやつだから解決させられてほっとしてるわ……続編も書けたら書きたい所存 (2020年11月26日 23時) (レス) id: e88b8137a8 (このIDを非表示/違反報告)
ゆーふぉ。(プロフ) - ゆっきまじ天才じゃん。なにこの神設定。オフィスの壁になりたいとこれほどまでに思ったことは無i((((( (2020年11月26日 23時) (レス) id: e1ece1687e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雪音 | 作成日時:2020年11月25日 7時