23 ページ24
河村side
『河村さん……昨日は大変ご迷惑をおかけしました……』
朝起きるとソファーの前に正座して僕が起きるのを待っていたAちゃん。いつから正座してたんだろう。足大丈夫かな。
河「別に大丈夫だよ。今適当に朝ご飯作るから」
『誠に勝手ながら朝食は準備させていただきました…』
テーブルの方に目を向けるとたしかに微かに湯気が見える。伊沢が前「うちの妹が嫁力高い」って言ってたのはあながち間違いではないかもしれない。
河「そう、ありがとう。じゃあ食べようか」
2人で向かい合って食事を取る。ふと、Aちゃんが口を開いた。
『河村さん……駄目だったら全然断ってくださっていいんですけど……』
嫌な予感がする。というかこの手の喋り出しでいい話を聞いたことがない。
『私をここに置いてくれませんか⁉』
河「置いてくれって……伊沢のとこ戻んなくていいの？」
『だって兄さんは私のこと迷惑だって……』
河「うん、まあ、そうなんだけど…」
くそ、あのCEOはなんてこと言ってくれたんだ。
河「でもいきなり何も言わずにいなくなられたら心配するんじゃない？それこそ誘拐とか……」
『……わかってます。兄さんが本気で私のことが迷惑だって言ってなかったことも、私に普通の恋愛をして欲しいってことも。でも、兄さんに会ったらきっと私は我慢できない。何度でも好きになってしまうから…もう、兄さんには会いません』
河「……そう」
どうやら彼女の意志は固いようだ。伊沢の気持ちもわかる。Aちゃんの気持ちもわかる。だからこそ僕は……
河「わかった。良いよ、ここにいて」
『⁉ほんとですか⁉ありがとうございます！』
河「伊沢がオフィス行ってる間に荷物運び入れて良いから。えっと……あったあった。これ、合鍵ね」
鍵を入れてるボックスから家の合鍵を取り出して渡す。まさか恋人でもない人にこんなことをする日が来るとは。
『ありがとうございます……』
河「ん。じゃあ僕オフィス行ってくるから。伊沢がオフィス来た時と帰る時連絡するから鉢合わせないようにね」
『すみません何から何まで……』
河「いえいえ。じゃあ行ってきます」
『い、いってらっしゃい……』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 86人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
雪音(プロフ) - rioさん» コメントありがとうございます！これからもご期待に添えるよう頑張ります！ (2020年9月23日 21時) (
レス) id: e88b8137a8 (このIDを非表示/違反報告)
rio(プロフ) - この物語大好きです、！ (2020年9月23日 21時) (レス) id: fc34d02cb0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雪音 | 作成日時：2020年9月22日 18時
