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河村side
河「なんであんなところにいたの？」
『兄さんに迷惑だって言われたので…家も兄さんと一緒に暮らしてるから帰らない方がいいかなって……』
河「……そう」
いつもの明るい性格とは打って変わって力なく俯く彼女。伊沢に関しては怖いくらいに察しのいい彼女でも、ネガティブな言葉は額面通り受け取ってしまうらしい。その気持ちがわからなくはないけど。
河「じゃあ帰るとこないの？」
『まあ…どこかホテルに行こうかとも思ったんですけど今からじゃ難しいかな……』
どこか無気力というか脱力というか、そんな目をしたAちゃんに危機感を感じた。
この子は今「生きる意味」を見失っている。兄の存在が絶対であり行動原理であったAちゃんにとって、兄からの拒絶はアイデンティティの喪失とも言える。放っておいたら死んでしまう。直感でそう思った。
河「行くとこないなら今日は泊めてあげる。どうせ着替えも洗濯中だし」
『いいんですか…？』
河「ん。まあ1日くらいならね。はい、乾いたよ」
濡れていた髪はさらさらになり、僕と同じシャンプーの匂いがしてなんだか不思議な感じがした。
河「じゃあ僕もシャワー浴びてくるかな…テレビとかも勝手に見てていいから。トイレはあっちの廊下の突き当たりね」
簡単に間取りの説明をして脱衣所へ向かう。目を離すのは危険かと思って極力急いでシャワーを済ませる。リビングに戻るとAちゃんはソファーの上で膝を抱えて丸まっていた。
河「眠い？」
『んー……』
うつらうつらとしているAちゃん。この子に明日どんな予定があるかは知らないが遅くならないうちに寝かせた方がいいだろう。
河「僕ソファーで寝るから。寝室はあったね」
意識が朦朧としているAちゃんの手を引いて寝室まで案内する。きっと意識がはっきりしてたら私がソファーで寝ますって言って聞かなかったんだろうなぁ…
河「じゃあ、おやすみ」
すでに夢の世界へ旅立ったAちゃんにそう声をかけて部屋を出た。
河「さてと……」
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雪音(プロフ) - rioさん» コメントありがとうございます！これからもご期待に添えるよう頑張ります！ (2020年9月23日 21時) (
レス) id: e88b8137a8 (このIDを非表示/違反報告)
rio(プロフ) - この物語大好きです、！ (2020年9月23日 21時) (レス) id: fc34d02cb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪音 | 作成日時：2020年9月22日 18時
