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伊沢side
その日は厄日だった。
全てを運のせいにするわけではないけれど、やることなすこと全て空回りするような状態で、少なからずイライラしていたんだと思う。
『兄さん！ここの編集なんだけどさ________』
いつもなら元気付けてくれているとわかるはずなのに、今日は心に余裕がなかったことでつい冷たくなってしまう。
伊「A、俺忙しいの」
『えっ、あっ、ごめん……』
視界の端でふくらさんが心配そうにこっちを見ているのがわかる。自分でも予想以上に低い声が出てしまったと思う。でももう止まれなかった。
伊「ねえ、Aっていつまで俺に付き纏うの？」
『え……？』
伊「そもそもお前QuizKnockのメンバーじゃないのにいつまでここにいるの？」
『えっと……ごめん迷惑だったら出てくけど……』
ふくらさんから鋭い視線が刺さる。
わかってる。Aはちゃんと編集を手伝ってくれてるし、むしろ「手伝い」というのもおこがましいくらいには仕事してもらってる。
伊「……それとさ、いつかは言おうと思ってたけど、お前が俺に言う好きってなんなの？」
『え……？』
伊「お前が俺を好きって言うのが本気なのか冗談なのかわかんないけど、兄妹じゃ結婚できない。そんなこと今時小学生だって知ってる話だろ？」
『それは……』
いつかは答えを出さないといけないと思っていた。どこまでも俺を愛してくれるA。でもお前は女の子である前に大事な俺の妹だから。
伊「正直今のお前は無駄な時間を過ごしているとしか思えない。俺に割く時間があるならもっと他に有意義に時間を使う方法を考えるべきだよ」
オフィスの空気が一気に張り詰めるのがわかる。でもちゃんと言わないと。曖昧にしたままでは結局Aを傷つけることになる。
『…叶わない恋はしてはいけないのですか？』
伊「！！」
ボロボロと涙を流しそう言うA。俺の前ではいつも笑っていたから、こいつの泣き顔を見るのはいつぶりだろう。
伊「…別に叶わない恋が全て無駄だとは言わない。でも俺たちは兄妹だから。お前に何を言われたって、俺がお前の気持ちに答えを出す日はこれからもずっと来ないよ」
仮に俺がAのことを好きでも、世間はそれを認めない。QuizKnockやAが非難されるリスクを背負ってまで、Aの気持ちを受け取ることはできない。
『兄さん……私の気持ちは、迷惑でしたか…？』
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雪音(プロフ) - rioさん» コメントありがとうございます！これからもご期待に添えるよう頑張ります！ (2020年9月23日 21時) (
レス) id: e88b8137a8 (このIDを非表示/違反報告)
rio(プロフ) - この物語大好きです、！ (2020年9月23日 21時) (レス) id: fc34d02cb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪音 | 作成日時：2020年9月22日 18時
