平和が消えるとき (ページ6)

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日常④ ページ6

兄が家を出てから数時間後。
――――コンコン。

「入るわよ？」

お母さんが部屋に帰ってきた。

「は、はぁ～い」

ノートパソコンの画面を勉強関連に素早く変える。

「晩ごはんなにがいい？今日のメニューが思いつかなくて…。」

「あのさ、受験頑張れとか言っといて、その頑張ってる娘に晩ごはんのメニュー聞く？」

「あら、ごめんなさい。私が悪かったわ。でも、そんな言い方しないでちょうだい。一馬みたいになったら私生きていけない。」

"知るかよそんなこと。"内心そう思ってるけど、そんなこと言ったら家を追い出されかねない。だから、

「ごめんなさい。私も言い方がちょっとキツかった。今後は気を付ける。あと、晩ごはんはお母さんが作ればなんでも美味しいから！ﾆｺｯ」

愛想笑い。これしかない。あとお母さんの作る料理は特別美味しいわけではない。そう。つまりお世辞だ。

「まぁ！ありがとう。やっぱりAは一馬とは違うわね！」

お母さんは上機嫌で部屋を出ていく。

「ハァ～…。」

ほんとにもうため息しかでてこない。
こんな人生もう嫌だ…。

ストレスがたまる一方だ。
――――ドタドタ

「真琴様のお帰りです！」

廊下から水城さんの叫び声が聞こえる。
てか真琴って…お父さんじゃん。

「ハァ～…。」

今日何度目かのため息。
お父さんも私にとってのストレスだ。

「A！Aはいるか？」

玄関で叫んでいるんだろう。お父さんの声が聞こえる。でもきこえないふり。

「A～！出てきなさい！お父さんが帰ってきたのよ！」

もう！お母さんまでさけばないでよ！行かなきゃならないじゃない！

「なに？」

私は無愛想に玄関まで向かう。
玄関にはニコニコと笑っているお父さんがいた。

「ただいま、A。」

「おかえり…。」

「どうだ？A。勉強ははかどってるか？」

でたよ。この質問。帰ってきてはこの質問ばかりで嫌になる。

「うん。まぁね。勉強するから部屋戻っていい？」

「もちろんだよ！勉強頑張りなさい！」

「…。」

勉強というワードを出せば割りとなんでも許してくれる。

部屋に戻ってベットに仰向けに寝転がる。
さっさと受験なんて終わってしまえばいいのに…。