平和が消えるとき (ページ4)

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日常② ページ4

rrrr…
机の電話が鳴る。
――――ガチャッ

「もしもし？」

『お姉ちゃん、今暇？』

「どうして？」

電話をかけてきたのは妹の留花。

『遊ぼうよ！留花、つまんない！』

「ちょっとならいいよ。今行く。」

周りのみんなは私と留花がそっくりだと言うけど、よくわからない。

「留花、入るよ？」

留花の部屋の前についてドア越しに声をかける。

「うん！！」

ドアの向こうから元気な声がする。ドアを開けると目の前がピンク色で一杯になる。

「…留花…ハデすぎじゃない？また模様替えしたの？」

「え？模様替えしてから見てなかったっけ？」

「見てない。で？遊びたいんだっけ？」

「うん！でもその前に部屋見てよ！」

留花は私の手を引っ張って部屋の真ん中に行く。好きな色が変わる度に模様替えする留花は、今度は部屋をピンク一色にした。
カーテンもピンク、ベッドもピンク。床もマットもピンク。置物も全てピンクだ。

「ねぇ、お姉ちゃん。勉強忙しいの？」

「うん…まぁ…ね…。」

「お兄ちゃんみたいにならない？」

「…うん…大丈夫…だよ。」

そう。私と留花にはお兄ちゃんが一人いる。お兄ちゃんは、私の二歳上。元は私と同じように受験勉強を真面目にやってたんだけど、それがストレスになりすぎて、不良になってしまった。

今はもうほとんど家にいない。ケガをすると手当てしに戻ってくるぐらいだ。

――――コンコン。

「留花？入るわよ？」

「お、お母さん！！」

留花はなぜか急に入ってきたお母さんに戸惑っている。

「A？どうしてここにいるの？」

お母さんはにこやかに聞いてくる。

「え…？どうしてって、留花に遊ぼうって言われて…。」

「ち、違う！わ、留花は何も…お姉ちゃんが勝手に入ってきて…。」

え？留花はものすごい焦ってる。私勝手に入ってなくない？

「そうなの？A。」

「何言ってるの？留花。留花が電話してきたじゃない。」

「…。」

留花はうつむいてる。

「留花？この前さんざん言ったよね？Aを部屋に呼ばないでって。」

「は、はい。」

どうやら、私を部屋に入れるのが禁止らしい。
お母さんは部屋から出る際、振り返って言った。

「A、部屋に戻って勉強続けて。留花、もうAを部屋に呼ばないでね。」

それだけ言ってお母さんは部屋から出ていった。

「お姉ちゃん、もう留花の部屋これない？」

「こっそり来るよ。」

そう言って私は自分の部屋に戻る。

「…！」

私の部屋には…兄がいた。