5話 ページ8
ツバキ「そういえば、Aちゃん!お風呂入ってきなよ。森の中走って来たから汚れてるだろうし、人間の女の子はお風呂が好きなんでしょ?」
女の子がみんなお風呂好きって訳じゃないけど、それはありがたい。
A「じゃあ、お風呂に入らせてもらいますね!本当に、ありがとうございます!」
ヒガン「お風呂に入るのはいいけど、着替えはどうするの?」
ツバキ「あっ……。ヒガンの服かしてあげたら?」
えっ?ヒガンさんの?服をかりる?いやいや、そんな恐れおおい…
ヒガン「別にいいけど、女物の下着は無いから使いまわしてね。」
A「服まで貸してもらうなんて…申し訳ないです…」
ヒガン「…僕は「ありがとう。」が聞きたいんだけどなぁ。」
A「!あっありがとうございます!では、服をおかりしますね!」
まさかヒガンさんからそんなことを言われるとは思わなくて少し焦ってしまった…
ツバキ「それじゃあお風呂まで案内するから、ゆっくりあったまってね!」
もうすでにお二人の優しさで心がポカポカしてますよ…。
ツバキさんにお風呂へ案内してもらった後、私はお湯に浸かりながら今日の事を振り返っていた。
いきなり知らない場所にとばされて、妖怪に襲われたと思ったら優しい人に助けてもらって…。
…ツバキさんとヒガンさんも妖怪なのだろうか…。
「空想の生物達が住む世界」…元の世界に戻りたい…。ここまでしてもらって、「戻りたい。」って言う私は、わがままなのかなぁ…
お風呂から出た後はヒガンさんが作ってくれた晩御飯を食べて、押入れから出して来たであろうお布団に入り眠りについた。
ツバキ視点
ヒガン「Aちゃんはもう寝た?」
Aちゃんが布団に入り、眠りについたであろうタイミングで話しかけてきたのは、お風呂上がりで髪が濡れている弟のヒガンだ。
ツバキ「うん。多分ね。」
ヒガンは「そっか。」と、短い返事をした後、真面目そうな顔つきで口を開いた。
ヒガン「Aちゃんってさ、多分外の世界から来た人間だよね。…きっとすぐに外に戻りたいって言い出すよ。」
ツバキ「うん…そうだね…。」
ヒガン「どうするつもりなの?あの子一人じゃ外には出られない。でも、僕らがそれを手助けすることは出来ない。」
ヒガンが言う通り、外に出るための出口は小さな人間一人がどう頑張ったって開けることは出来ない。
ツバキ「それは…、Aちゃんの判断に任せよう。」
ヒガン「…分かった。」
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作者名:まねきねこ | 作成日時:2018年10月3日 9時