月と嘘 (ページ7)

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五話ページ7

「でもねぇ……キミは冒険者になったんだから、もっと気にしなきゃいけないことが沢山あるんだよ？」

「うっ……」

もっともな事を言われてベルの動きが止まる。

「キミはもう自分の神様から恩恵を授かったんでしょう？『ロキ・ファミリア』で幹部も務める彼女とお近づきになるのは、私は難しいと思う」

「……はい」

「……想いを諦めろなんて言いたくないけど、現実だけはしっかり見据えておかなきゃ
じゃないと、ベル君のためにもならない」

「はい……」

ベルが完全に論破されてる。
凄くショボンとしながらトボトボと歩いていく

そんなベルを見てエイナさんは少し考えたそぶりをしてからベルに話しかけた。
ベルは返事をしながら、振り返った。

「あのね、女性はやっぱり強くて頼りがいのある男の人に魅力を感じるから……
えっと、めげずに頑張っていればその、ね？彼女も強くなったベル君に振り向いてくれるかもよ？」

そんな言葉を聞いたベルは物凄く嬉しそうな笑顔になり

「エイナさん大好きー!!」

「えうっ!?」

「ありがとぉー！」

なんて叫びながら走っていった。
エイナさん真っ赤だし。
この天然タラシめ……
しかも…

…ベルの奴、確実に私のこと忘れてやがるな。

「はぁ……」

「ルナちゃん、忘れられちゃってるね……」

「はい……まぁ、ベルが元気になったようでなによりですけどね……」

「そっか」

エイナさんは微笑ましそうにこちらを見てくる。

「な、なんですか？その顔は…」

「ふふっ、いやね、なんだかんだルナちゃんもベル君のこと大好きなんだなって」

「好きですよ、ベルのこと…でも、恋愛感情とかじゃないんです。なんていうか……家族愛とか…そういうもので……
あ、もちろん私もエイナさんのこと大好きですよ！」

最後の言葉を口にするとそれまで微笑んでいたエイナさんの顔が見る見るうちに赤くなっていく。
おそらく、さっきのベルの言葉を思い出したのだろう。