九話 ページ12
「い、いえ、こちらこそ驚かせてしまって……」
彼女は逆に頭を下げてきた。
礼儀正しい人は好きだ。
ベルの罪悪感が凄そうだが……
「な、何か僕に?」
「あ……はい。これ、落としましたよ」
そう言って差し出した手の平には『魔石』が乗っていた。
ベルは少し違和感を感じ首を捻っていたが、お礼を言ってそれを受け取った。
彼女はふわっと微笑み、ベルもつられて笑っていた。
何だか仲間はずれな……ダメだ、こんな事を考えちゃ。
「こんな朝早くから、ダンジョンへ行かれるんですか?」
「はい、ちょっと軽く行ってみようかなぁなんて……」
うん、完全に二人の世界だ。
私がそんな事を考えていたら、突然ベルのお腹が鳴った。
案の定ベルは真っ赤になって俯く。
「うふふっ、お腹、空いてらっしゃるんですか?」
「……はぃ」
ベルの声が小さい。
驚きの小ささだ。
「もしかして、朝食をとられていないとか? そちらの方も」
「え、あ、私は食べてますよ? ちゃんと神様達の分も含めて用意してあるので」
そう、毎朝の食事当番は一番早く起きるから私なのだ。
まぁ確かにベルは今日慌てて外に出てきたな。
食べて無かったのか。
頷いてるし。
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鶴(プロフ) - 初めて見たんですが、とっても面白いです!更新頑張ってください!応援しています! (2019年7月13日 21時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:だんちょ〜 | 作成日時:2018年1月14日 3時