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「ちょっといいかな、徳間」
教室で美真ちゃんと話していると、呼ばれた苗字。
呼ばれた先を見ると、制服を着崩したチャラチャラした男が壁に寄りかかってた。
え、…なに。私、なにかしたっけ…?
二つ三つ垂れ下がったピアスに怯えてフリーズすれば、男は眉を下げて困った顔をした。
「橋本涼だよ。徳間に用があるんだ」
橋本涼。
…え?
あの、あの橋本涼が、これ?
あまりに変わりすぎていて、びっくりしてしまう。
え、え、と言いながら近づくと、「かなり変わったね」なんて微笑むから、「涼くんも、」と返した。
涼「用事のことなんだけど。
…ここじゃ話しにくいから来てもらっていい?」
A「あ、うん…」
久しぶりに話した涼くんの声に、どことなく優しそうだなって思った。
なんだか、イノウエミズキといるって思うと違うような…そんな感じ。
*
涼「…用事っていうのは、瑞稀のことなんだけど。」
A「…うん?」
涼「まさか瑞稀のこと知ってる子が転校して来ると思ってなくてさ。…昔のことは話さないでもらっていい?」
A「…え?待って、どういうこと?」
涼「そのままの意味だよ。瑞稀と徳間は初めて知り合ったってことにして。
俺と徳間も今日が初めましてだ。」
A「い、意味がわからないんだけど。」
涼くんがサラリと言いあげた言葉に顔を顰める。
なんで知ってるのに知らないふりをしなきゃいけないの?
涼「意味がわからなくていいよ。分からなくていいから、とりあえずそうして」
それだけだから。
涼くんはそう言ってスタスタと歩き出した。
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りうね(プロフ) - にこりさん、おかえりなさい!とっても嬉しいです。邂逅楽しみにしています。 (2019年7月23日 17時) (レス) id: d5bba296a6 (このIDを非表示/違反報告)
咲(プロフ) - 読みやすくて面白いです!これからも更新楽しみにしています! (2018年6月10日 14時) (レス) id: 6853d820e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にこり。 | 作成日時:2018年5月8日 22時